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ペット豆知識・号外第2弾「是非知っておきたい基礎から最新の知識まで」

●猫には、爪研ぎが必要? (難易度★★☆☆☆)
猫の爪は、新しい爪が内側から外側に向かって、重なってのびていきます。ちょうど、玉ネギのようなしくみになっています。爪を研ぐというのは、外側の爪を剥ぎ取っているのです。そこで、爪研ぎをしないと、外側の古い爪が残ってしまい、場合によっては、大きく太くなりすぎて、肉球に刺さってしまいます。特に高齢の猫で、動きも鈍くなり、運動もせず、研ぎもしない猫に多く見られます。若い猫でも、月に1回は爪を切って、外側の古い爪を取り除いてあげてください。
(Dr.藤吉)

●人間が風邪をひいたら、飼い猫も風邪をひいていた。猫の風邪は人間にもうつるの? (難易度★★☆☆☆)
人には人の風邪のウイルス、猫には猫の風邪のウイルスがあり、その両方に感染するウイルスは現在のところありません。同じ環境のもとに人と猫が生活していると、例えば気温の低下(寒さ)、湿度の低下、種々のストレスなど、発症の条件が重なるため、風邪をひいてしまいます。冬の到来の前に、ワクチンを接種しましょう。(最近お騒がせの鳥インフルエンザは人と猫で自然感染の事例が報告されています。猫では実験的にも感染しますが、犬では自然にも実験的にも感染が成立しないとされています。)
(Dr.藤吉)

●猫エイズは人間にもうつるの? (難易度★★☆☆☆)
上記の問題と同様に、人には人の、猫には猫のエイズウイルスが存在します。エイズウイルスは、サブタイプの種類が多く、変異株の出現には気を付けなければいけませんが、今のところ人と猫の双方に感染するウイルスは見つかっていません。ちなみに猫白血病もうつりません。最近、猫エイズに対しても有効なワクチンが開発されています。日本でも接種可能となっています。詳しくは窓口まで!
(Dr.藤吉)

●猫は狂犬病にかかりますか?  (難易度★★☆☆☆)
かかります。狂犬病と言う名前から犬固有の病気と思われがちですが、人を含めて全ての哺乳類が狂犬病にかかります。学名はRabies(ラビーズ)と呼ばれ、アメリカでは恐水症と呼ばれています。日本では1957年以後人の患者の発生はありませんでしたが、2006年8月にフィリピンで犬にかまれ日本に帰国後11月に狂犬病を発病し死亡した例が報告されていますが、日本での感染例ではありません。(日本は狂犬病清浄国!)人以外でも狂犬病に感染している動物がペットとして海外から日本へ持ち込まれる可能性は常にある事を認識しておきましょう。海外では日本国内と同じような感覚で現地の動物に手を出さないようにする事が重要ですね。ちなみに日本では戦後に犬から人への感染が問題となったので、狂犬病予防法で犬のみのワクチン接種が義務付けられています。狂犬病発生国では、ペットとして飼われている犬以外の哺乳類にワクチン接種を義務付けているところもあるくらいなのです。(ちなみに日本に輸入時に厳しい検疫が必要な動物は、犬はもちろん、スカンク、猫、アライグマ、キツネです)
(Dr.宮川)

●犬猫の平熱は何度ですか? (難易度★★☆☆☆)
一般的に直腸温で38.0度から39.2度くらいといわれてます。直腸温とは肛門に体温計をいれて測定したときの体温です。体温測定は重要な検査ですし、平熱は個々によって異なってきますので、病院でワクチン接種などで体温を測定したときにしっかりと覚えておきましょう。
(Dr.宮川)

●お薬(内服薬)の飲ませ方を教えて下さい。 (難易度★★☆☆☆)
内服薬には錠剤、散剤(粉薬)、液剤(シロップ)の3つがあります。錠剤は口を開けて直接押し込んでのませるか、食餌に混ぜて与えます。散剤は食餌に混ぜて与えて下さい。散剤は苦い薬が多いので水に溶いてのませるは難しい事が多いです。液剤はスポイトを使って舐めさせるように与えると飲ませやすいでしょう。
(Dr.宮川)

●犬猫の血液型はあるの? (難易度★★★☆☆)
 犬の血液型(赤血球型)は現在まで12種類以上が明らかにされています。そのなかで臨床的に重要なものはDEA1.1という赤血球抗原が陰性であるか陽性かであるかとされています。DEA1.1が陰性の血液はどの犬にも輸血できる性質があります。DEA1.1陰性の犬にDEA1.1陽性の血液を輸血すると輸血反応(不適合)が起こります。しかし、これも絶対的な検査ではありません。特に過去に輸血された動物では血球の凝集や溶血、アレルギー(ショックや蕁麻疹、黄疸など)などの血清反応がみられ、致死的となります。当院では1時間半~2時間をかけてクロスマッチングテスト(血液交叉試験)を1例ごとに丹念に実施しています。これは血液型そのものが分かる検査ではありませんが、血清学的にトータルの適合性をみる意味で最も優れた検査であると確信しています。そのつどドナー(供血者)とレシピエント(受血者)の血球と血漿をそれぞれに混和(主試験と副試験の2つがある)して、凝集の程度を顕微鏡で直接観察し、適合か不適合かどうかを判定することにしています。これは当院が開院して以来、欠かさずに実践している検査です。一方、猫の場合はA型抗原とB型抗原の2種類の組み合わせにより、A、B、ABの3つの血液型が存在します。「猫血液型判定キット」が動物用医薬品として利用可能です。当院では犬と同様な理由で猫でもクロスマッチングテストをそのつど行っています。
(Dr.田原)

●犬猫の体温はどうして直腸(肛門)で測るの? (難易度★★★☆☆)
動物でも人と同じ理屈だと思いますが、体のどの部位(臓器)の温度が体温として最もふさわしいのかというと、心臓から出たての大動脈血でしょうか。人も動物も麻酔下でセンサーでもセットしていない限り、大動脈血の温度を測定することは不可能です。そうなるとどこで測定することが最も大動脈血に近似なのでしょうか。人では口腔内か腋下(腋カ)で測定します。動物は噛む(咬む)ことや、体毛があること、また保定が困難などの理由で難渋します。この点、動物では直腸(肛門)が手技的に最も容易で、しかも大動脈血の温度を再現性ヨロシク反映してくれるのです。参考までに、とある日の愛犬「ベル」の部位別の測定値を示しておきましょう。直腸温38.5℃、腋下38.1℃、口腔内(口角)37.8℃、内股37.9℃、耳(外耳道内)37.8℃でした。
(Dr.ポニョ)

●動物の点滴(輸液)はどのように考えられているの? (難易度★★★★☆)
基本的には人と同じ考え方です。ルート(経路)は、稀に腹腔内に実施することがありますが、静脈と皮下への点滴が主体です。輸液は動物の状態(重症度)や症状によって種類や量を決めます。例えば嘔吐が主体であれば生理食塩水を選択し、下痢が主体であればリンゲル液を選びます。腎臓の機能低下があれば塩分の少ないものを、肝臓が悪ければ酢酸塩の添加してある輸液剤を点滴します。心不全があれば塩分濃度の少ないものを選び、速度も遅くします。強肝剤やビタミン剤、カルシウム、カリウム、(利尿剤)なども添加するのが通常です。術後や重症例では24時間点滴が基本です。当院では動物のストレスを軽減させるため、輸液ポンプの貸し出しや在宅での皮下点滴も積極的に推奨しています。適正な点滴(輸液)は犬猫の診療では無くてはならないツールです。
(Dr.田原)

アトピーの減感作療法とはどんな治療法ですか? (難易度★★★★★)
アレルギー(アトピー)の原因となるアレルゲン(抗原)の薄いエキスが入ったカクテルをオーダーし、少量ずつ皮下注射します。アレルゲンの種類はあらかじめの血清中IgE抗体の有無(濃度)で特定します。約10ヶ月の期間をかけて増量し、80%の症例で効果があるとされています。その後は月に一度の維持量注射で管理します。理論は、この方法でIgGの抗体を産生させ、急性のアトピー反応を抑止することによります。当院でも減感作療法を始めました。詳細は受付まで御相談下さい。
(Dr.田原)

Dr.小川の連載「ペット豆知識」の掲載遅延に対しての御迷惑、お許しの程を! 掲載停滞時の「号外編」も乞うご期待!

たばる動物病院・獣医師一同

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