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ペット豆知識29-犬猫の毒物とその対処法・その2-MRT「ペット・ラジオ診察室」6/11・6/18放送分

<犬猫の毒物>

6月11日放送分

<リスナーからの質問>

Qes:犬を飼い始めて2年目の新米飼い主であす。先日の放送で、ブドウやレーズンを食べさせてはいけないことがわかり、びっくり。幸い、これまで食べさせてはいませんでしたが、他にも注意しなければならない食べ物はありますか? 因みに、我家のワンちゃんは野菜が好きです。キャベツは大丈夫でしょうか? 最近、スイカを食べているとおねだりされて、ついついあげてしまうのですが、これも大丈夫でしょう?

Ans:海外文献で、ブドウもしくはレーズンを摂食した43頭中23頭が死亡、もう一つの文献ではブドウ中毒5頭、レーズン5頭のうち2頭が死亡、4頭が安楽死した。オクラトキシンなどのカビ毒などが原因として挙げられているが、現在のところ、原因毒物は不明。量は犬の体重当り10~30グラムで起こるとされる。

 わが家の周りでも、台所付近にタマネギ、チョコレート、ガム、ジャガイモ(芽、緑色のイモ)、解熱剤、殺虫剤、漂白剤、洗剤など。庭には南天、エゴノキ(果皮=サポニン)、スイセン(茎、球根)、シクラメン、ツツジ、ナス・トマト(熟した実は大丈夫だが、葉や芽・未熟な青いトマトは有毒成分のソラニン含有)、ウルシ(乳液で接触性)など。敷地外にはウメ、桃、夾竹桃(強心配糖体)など・・・・・枚挙に遑がない。まさしく、犬猫の周りは「毒だらけ」である。
 
 わが国でのきちんとした統計はないが、アメリカのテキサス中毒センターネットワークに報告された1998-2002年の間に集積されたデータで、24.467件の中毒の電話があり、全電話の2.0%であったという。内訳は犬が87%、猫が11%であった。99%の症例の暴露は偶発で、95%は摂取、5%は皮膚への暴露で発生した。暴露の91%が屋内(オーナー自身の家)で起こり、39%が病院で処置された。犬の60%、猫の39%に処置の効果がなかった。夏により多く起こり、殺虫剤や植物に原因するものが主であった。

 猫は肉食のため、犬に比べていろんなものに手をつけない? 口をつけない。ただし、毛玉をはく習性があるため、ユリ(尿毒症で死亡)など細長い葉をもつ植物には要注意である。また約4割が病院で処置がなされたことから、中毒の種類によっては病院に行かなくても済むケースが少なくないということである。処置効果の見られなかったものが犬で6割、猫で約4割であるから、重篤の症例では救命の困難性が示されている。

●最もよく起こり、よく知られているものはネギ類:玉葱、ネギ、ニンニク、ニラの成分であるプロピル・ジスルフィドによって赤血球を破壊し、溶血性貧血を起こす。コーヒー様の血尿が見られる。溶血の2次的影響で肝臓障害が誘発されること有り。遺伝的に赤血球に異常のある秋田犬や柴犬では本症の中毒に罹患し易い。猫でもタマネギ類を含んだ加工食品(ベビーフードなど)を摂食すれば、本症に罹り得るので注意を要する。量は体重11kgの犬で3.5oz(98グラム、体重1Kgで約10g)で発症する。

●キサンチン誘導体(テオブロミン、カフェイン)を含むもの:チョコレートやコーヒー、ココア。中枢神経の興奮作用や嘔吐・下痢の消化器症状、心拍数の増加などがある。犬の致死量:40g/kg(5kgの犬では200gのチョコで死亡)、猫:100g/kg(4kgの猫で400g)。

●キシリトールガム:キシリトールは人ではインスリンや血糖値に殆ど影響を与えないが犬ではインスリン分泌作用が強い。低血糖で死亡する。

●人間が服用する薬の類:アセトアミノフェンやアスピリンなどの解熱・鎮痛剤は特に猫で肝臓での代謝が弱いため、中毒症状がで易い。三環系抗うつ剤(TCAs)やモノアミン酸化酵素阻害剤(MAOIs)、選択セロトニン再取り込み阻害剤(SSRIs)などの抗うつ剤の偶発的摂取も最近多い。

●野菜に限れば、トマト(未熟な青い実、芽、葉は有毒)やナス(芽、葉は有毒)は熟した実のみを、ジャガイモは芽をちゃんと除けば大丈夫。その成分であるソラニンやべラドンナ、ソラノカプシンが消化器障害を起こす。沈鬱や不整脈が見られることもある。しかし、キャベツやキュウリ、ニンジン、大根、スイカなどは大丈夫であるが、犬猫にやるのだからと言って、きれいに洗わずに与えるのは避けること(皮の農薬附着の点から)。

6月18日放送分
<夜間救急病院での犬猫の中毒症例>

●中毒と言えば「夜間救急病院」の出番である。

●①掛かりつけの動物病院が閉まっている、②夕方~暗くなっての散歩中に「何か」を口にして数分で全身痙攣を起こした、③仕事が終わって帰宅すると薬の箱が散乱していた、④残飯を漁っていた、などの要因で夜間救急に来院する症例が多いと考えられる。

●薬物では有機リン中毒やナメクジや蟻などの駆除剤(メタアルデヒド中毒、梅雨のこの時季要注意)、人体薬の摂食(解熱鎮痛剤や睡眠導入剤、抗鬱薬など)などが多い。猫では肝臓での代謝(グルクロン化)が劣るため、たとえばアセトアミノフェンは犬の4分の1程度(猫の体重1Kg当り50~60mg)で中毒症状が発現する。保管や管理を厳重にする。

●食物や植物ではタマネギやニンニク類の摂食、その他、チョコレート、タバコ(ニコチン中毒)、ユリの葉、ソテツの実(メチルアゾキシメタノールは胃内で容易にホルマリンに変化し、肝壊死や腸管穿孔による腹膜炎、多臓器不全で死亡。中型犬の場合、1~2個の摂取で死亡)、ホウ酸団子(ホウ酸塩として体重1Kg当り3gが致死量)、南天(アルカロイド含有)などの症例があった。

●本題から逸れるが、その他としてマムシによる咬傷(毒素は酵素および非酵素的なポリペプチドが数種)。局所の組織壊死。2年間で5頭の症例あり。散歩の時間や散歩ルート(農道や田んぼの畦道、山際の草叢など)に注意を払う。

<対処法>
●多くの中毒は初期の段階で嘔吐などの消化器症状を呈するから、「いつもの嘔吐」かと軽んぜず、口の周りや口腔内に食ったものの残骸が残っていないか、丹念に調べる。いわんや、吐物の中身も精査する。

●ゴミが漁ってあったり、薬の箱(シート)が散乱していたら、薬物名を確認した上で動物病院に連絡し、指示を仰ぐ。

●震えや運動失調、痙攣などの神経症状が出たならば、即病院へ直行。農薬やナメクジ駆除剤(メタアルデヒド中毒)、人体薬の摂食などでは全身麻酔下での「胃洗浄」が必須の場合が少なくない。

●宮崎では「ソテツの実」が超・重要。毒素はサイカシン、β-methylamino-L-alanine、その他未知の神経毒がある。消化器症状と肝壊死で死亡。犬ではブドウやレーズンの摂食による尿毒症、猫ではユリの摂食による尿毒症死が重要。シアン生成性配糖体を含むリンゴや杏、サクランボ、桃、梅の種は、種によるが5~25個で中毒症状が起こる。摂食後30~90分で発症し、2~3分で死亡する。これらの「毒物」に関しては、摂食の可能性が少しでもあれば、催吐処置を施し、すぐさま病院へ直行し「胃洗浄」。

●家庭での催吐法は「食塩」や「オキシドール」。食塩の量は小型犬で小さじすりきり、中型犬は中さじすりきり、大型犬は大さじすりきり1杯。2回までは可能。それ以上だと脱水や高ナトリウム血症で死亡させることあり。(石は催吐不可能なので食塩での催吐は避ける)。市販のオキシドールを体重当り2~5ml/kgを、少ない量から投与する。

●中毒の病院での一般的治療は「催吐処置」、「キレート剤の投与(有機リン剤の場合)」、「胃洗浄」、「活性炭の投与」、補助として輸液療法や利尿剤の投与など。

●最後に、①「犬猫の周りは毒だらけ」を強く認識し、②食卓や戸棚など犬猫の手口の届くところに「毒物」を置かない、③ゴミや残飯の処理は厳重に、④それに庭、散歩ルートなど常に「毒」の存在に配慮することが重要である。

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