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ペット豆知識33・その2-犬、猫の検診について-MRT「ペット・ラジオ診察室」・8月13日放送分

 前回は、健診こと健康診断について話した。今回はもう一つの検診について放送する。検診は、「ある特定の病気があるのではないかと、疑って検査・診断すること」をいう。例えば肺癌検診や乳癌検診、婦人科検診などを言う。

●検診の開始年齢は健診に準ずると思われるが、特に犬の場合、「犬種特異性」と言って遺伝的にある特定の病気に罹りやすい犬種があるため、この「好発犬種」では幼犬や若齢でも実施する。
●例えばマルチーズやヨークシャーテリア、チワワ、ポメラニアン、トイ・プードル、シーズー、イングリッシュ・ブルドッグ、ボストンテリア、ペキニーズなどが好発犬種の水頭症、ゴールデンリトリバーやシェパードなどの大型犬に多い股関節形成不全、キャバリアやマルチーズに多発する僧帽弁閉鎖不全症などがある。
●猫白血病や猫エイズの検査は年齢に関係なく行う。特に仔猫の白血病検査の陽性例では、インターフェロンの数回投与でウイルスの陰転する症例が存在する。猫エイズと猫白血病検査はキットが市販されており、所要時間は15分程度である。
●柴犬やシーズー、ゴールデンレトリバー、ウエストハイランドホワイトテリア、ヨークシャーテリアなどは、アトピー性皮膚炎の好発犬種である。耳や顔面、腋、下腹部、内股、四肢端などの小さめの湿疹と発赤で痒みが強く、抗生剤への反応が芳しくない症例ではアトピーを疑う。
●このところの人気犬種であるダックスフントやトイ・プードル、チワワでは頻繁に下痢・嘔吐を呈する症例が多い。これは炎症性腸炎といい、アレルギーが関与しているケースが少なくない。
●人気犬種にアトピーや食物アレルギー、炎症性腸炎が多い理由の一つに、遺伝的に素因の濃い個体間での繁殖が挙げられる。
●何が悪さをしているか、何がアレルゲン(抗原)かをチェックできる。現在最も信頼できるものでは、食物の他、ダニ、ノミ、ハウスダスト、花粉、カビ、敷物、煙草の煙など92の抗原について検査可能である。
●アレルギー検査で与えても良いフードが決まれば、ほとんどの症例で症状の改善が見られる。検査以外の食物は、出来る限り給与しない。
●ダックスフントの椎間板ヘルニアや、ゴールデンやラブラドールレトリバーなどの大型犬に見られる変形性(退行性)骨関節症については、レントゲン撮影を行い、椎間板の石灰化や、関節の変形・棘の出現などの所見を早期に発見し、減量や運動など生活環境を改善することが重要である。
●変形性骨関節症には原発性(一次性)と二次性の2つが有り、原発性は肥満傾向の個体でしかも若齢でも発症する。二次性は外傷や骨折、レッグ・ペルテス病、股関節形成不全、離断性骨軟骨症、前十字靱帯断裂などの継発として起こる。
●キャバリアやマルチーズ、シーズー、ポメラニアン、プードルなどの小型犬は僧帽弁閉鎖不全症の好発犬種である。4~5歳からの聴診と心エコー検査が望ましい。
●犬と猫との疾患は両者で大きく異なる。また、犬では犬種によって遺伝的疾患が多々ある。いずれ折に触れ、犬種好発の遺伝的疾患について述べる。

★★★献身的に留守番をしたり、家族を癒してくれるペットに最低年1~2回の健診と検診をしてあげましょう。

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