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ペット豆知識No.66-「ミニチュア・ダックスフントに多く見られる疾患・その2-MRT「ペット・ラジオ診察室」4月1日放送分

前回に引き続き、今回もミニチュア・ダックスに多い疾患について述べる。

6.<逆まつげ>
 いわゆる「逆睫毛(マツゲ)」は正式には「睫毛(しょうもう)」といい、睫毛重生異所性睫毛睫毛乱生の3種類がある。ミニチュア・ダックスでは、睫毛重生がよく見られる。角膜炎や角膜潰瘍、眼疼痛などの原因となるため、直視下で抜く。電気で焼洛するか外科的な毛胞切除法もあるが、一般的でない。

睫毛重生(じゅうせい):犬でよくある疾患である。眼瞼辺縁にあるマイボーム腺開口部に隣接して、あるいはマイボーム腺開口下部に発生した睫毛のことを言う。臨床徴候を示さないこともあるが、睫毛の堅さ、長さ、本数や方向により、眼疼痛や角膜炎、角膜損傷、角膜潰瘍などの原因になる
 
異所性(いしょせい)睫毛:眼瞼縁から数mm離れた眼瞼結膜に生える。睫毛重生に比べ発生頻度は低く、通常片側性である。若齢の成犬がよく罹患し、睫毛が角膜を擦って、その結果、角膜炎や角膜潰瘍を惹き起こす。

睫毛乱生(らんせい):顔面被毛が眼表面に接触していることを言う。表在性角膜炎、色素性角膜炎などの原因となる。主に内眼角の毛が災いの元となるが、ペキニーズなどでは鼻褶(びしゅう=鼻の脇の皮膚襞)が原因する場合もある。

7.<進行性網膜萎縮(網膜変性症)>
 1980年代前半に発見された後天性に起こる突然の網膜変性で、病因は明らかにされていないが、ミニチュア・ダックスフントなどの犬種特異性が認められることから、遺伝的要素が考えられており、常染色体劣性遺伝で遺伝する。通常、中高年齢で発症し、肥満傾向にある犬で多い。典型的な例では、夜盲症として認識され、続いて進行して明るい光の下でさえ完全な盲目となる。しばしば多飲・多尿や過食の犬に多い。遺伝性の疾患で根本的な治療法は無く、必ず完全な盲目になるまで、進行し続ける。飼い主が視覚異常に気付いてから、24時間から4週間程度で失明する。進行した場合には、瞳孔反射は減衰し、瞳孔は散大している。また、進行すると二次的な白内障が見られる。
 眼底鏡による検査で診断可能である。早期に発見された例では、眼底に異常を認めないが、その後網膜血管の狭細化タペタムの輝度(反射)亢進視神経萎縮の特徴的所見が次第に現われてくる。

タペタムとは、眼底の明るく輝いた部分のことを言う。この領域では網膜色素上皮(RPE)の色素を欠き、タペタム細胞が脈絡毛細血管下の脈絡膜に存在する。網膜は透過性でタペタムを背景に網膜血管が認められる。

※眼底に病変が検出されない時期でも、網膜電図(ERG)においては明らかな異常が認められる。

8.<皮膚病>
膿皮症:ブドウ球菌の感染により発症する場合が多い。
脂漏性皮膚炎:鱗屑を伴う限局性の角化亢進が特徴である。
先天性角化症:激しい落屑が認められる。
パターン脱毛症:出生時は正常だが、成長するにともない、毛が細くなり、完全に脱毛する。耳介、頸部、胸部、腹部など色々な場所に生じる。
ミュータント脱毛症:遅発性(生後6ヶ月~2歳ころ)の先天性脱毛症である。毛の色素異常、形成異常に関連し、color-dilute hair(色の薄くなった毛。例えば、黒→ブルー、茶→淡黄褐色)の毛胞形成異常により生じる。出生時は正常だが、成長とともに毛が細くなり、脱毛する。(ただし、color-dilute hairの部分のみに生じる)
耳介脱毛症
これらは根本的な治療法はない
耳輪縁脂漏症
無菌性結節性脂肪織炎:皮下脂肪における炎症性疾患である。深在性皮下結節を主に体幹(胴)に形成し、一つ~数個あり、大きさは数ミリ~数センチのものまである。潰瘍化し、膿を排泄することがある。皮膚症状のみならず、発熱、食欲不振といった症状が見られることもある。
若年性蜂窩織炎:先天性疾患で3週間~6ヶ月の子犬が発症する。唇、鼻、眼の周囲に、小胞、膿胞、膿の排泄、痂皮(かさぶた)、脱毛などが見られる。顔の腫脹、下顎リンパ節の腫れといった症状が見られることもある。
など遺伝性皮膚疾患が多いのもミニチュア・ダックスフントの特徴である。

9.<ワクチンによる副作用>
 日本では一時、ミニチュア・ダックスフントにワクチンの副作用が多く見られると思われていた。しかし、外国(米・英国)や最近の日本での報告では、他の犬種との有意差はないとされる。それでも、食物アレルギーとワクチンアレルギーとの関連も指摘されており、本犬種にワクチン接種する場合には、より以上の注意が必要であろう。

文責:獣医師 棚多 瞳

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