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ペット豆知識No.83-肝炎・肝硬変について-MRT「ペット・ラジオ診察室」7月29日放送分

 今回のテーマは「肝炎・肝硬変について」である。人と同様、犬も長寿となり慢性肝炎や肝硬変を疑う症例は増加傾向にある。

人ではアルコール性やウイルス性の肝炎が大部分を占めるが、犬では何が原因で肝炎になるのだろうか?
 犬の肝炎はほとんどの場合、原因が分かっていない。しかし、薬剤や植物などが原因の場合も少なくない。
具体的には以下に示す。
 ★ステロイド、抗痙攣剤、抗生剤、抗真菌剤などの薬剤
 ★人の風邪薬に含まれるアセトアミノフェン
 ★ソテツの実
 ★藻類(藍藻、アオコ)
 ★アフラトキシン(ピーナッツ、大豆、とうもろこしなどに真菌が増殖し産生される)などがある。

 その他、肝炎になりやすい犬種があるため、以下に示す。
 ※肝臓に銅が蓄積することによる(遺伝性)
 ★ベトリントン・テリア
 ★ウェスト・ハイランド・テリア
 ★ダルメシアン
 ★ドーベルマン・ピンシャー
 ★コッカー・スパニエル
 ★ラブラドール・レトリバーなどがあげられる。

 ※特発性(原因不明)
 ★ドーベルマン・ピンシャー
 ★コッカー・スパニエル
 ★スタンダード・プードルなどがあげられる。

肝炎の症状にはどのようなものがあるのか?
 症状には元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少、多飲多尿、腹水、黄疸などがあるが、多くの場合、肝炎が進行した後で症状が表れる

肝炎や肝硬変を防ぐためには何に気をつければ良いのか?
 肝臓は比較的回復力の良い臓器だが、原因不明の急性肝炎は通常、約3週間以内に回復するが、急性肝炎の25%は慢性肝炎へと移行する。そして、慢性肝炎や重度の肝炎が生じると最終的に肝硬変に陥るケースがある。
 そのため、早期発見および治療が望まれるが、症状が表れてからでは肝炎が進行しているケースが多い。したがって、高齢犬や上記の原因に心当たりのある場合には定期的な検査が望まれる。 

文責:獣医師 棚多 瞳

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