コンテンツへスキップ

10月7日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」は「犬の発情」でした。

今回は「犬の発情」について述べる。

犬の正常な発情とはどのようなものか?
・犬の発情による出血は、人の月経とは異なり、子宮内膜の血管系が著しく増殖、発達して血液の滲出で起こる。
・出血が認められる時期は、発情前期と発情期から成り、発情前期では陰部から漿液-血液状の排泄物が認められ、外陰部は腫れ、充血している発情期になると、陰部からの排泄物の量は減り、色は漿液-血液状か、あるいは淡黄色となる。また外陰部は発情前時より小さくて軟らかくなり、この時期が受胎可能期間となる
犬の発情は日照時間に影響を受け、その後数ヶ月(犬により様々である)発情は来ない。(発情休止期となる)

いつになっても発情が始まらない?
・発情の開始時期は個体により大きな差異があり(遺伝が関わっていると考えられている)、一般に小型犬では6~10ヶ月齢、大型犬では18~24ヶ月齢で発情が始まる。発情の開始はこのように個体差があるため、少なくとも2歳までは待ってみよう一旦発情が開始すると、その後の発情サイクルは正常な場合が多い。  また、近くに他の雌が居る環境では雌の発情を促すことがある。(フェロモンが関与している)
無発情の原因には、卵巣無形成・形成不全、不適切な光周期、ストレス、低栄養などの原因が考えられるしかし、中には人が気付かないSilent heatも存在し、陰部からの排泄物が少なく、陰部を舐めるといった行動により飼い主が気付いていないか、見逃しているケースもある

発情が終わったと思ったらすぐまた発情し始めた?
分裂発情という発情がある。これは、発情前期、発情期の途中までしか生じず、排卵は起こらない発情のことである。正常よりも短い発情のあと、2~10週間後、再び発情を迎える。若齢雌で生じる場合には、未成熟のためと考えられ、成長と共に正常の発情を開始する。また、成熟雌で生じる場合には、一般的にはストレスが関与していると考えられており、その場合、一時的である。
・ただし、発情期間の短縮がしばしば認められる場合には、視床下部、下垂体、卵巣の異常が疑われる。遺伝の関与も疑われるため、繁殖は避けた方が良い

出血が止まない?
・28日以上の出血が見られ、その間雄を惹き付ける場合、エストロジェンの長期分泌が考えられる。その原因としては、卵胞嚢腫、卵巣腫瘍がある。
・卵胞嚢腫は3歳以下で発生し易く、自然に退縮することもあるが、長期にわたると、貧血、血小板減少、子宮蓄膿症、膣過形成などを惹起する。
・卵巣の腫瘍は、5歳以上で生じ易いが、エストロジェンを産生する卵巣腫瘍の発生は稀である。
・その他、陰部からの出血は卵巣以外の異常も原因として考えられ、尿生殖路(腎臓、尿管、膀胱、尿道、子宮、膣)の感染・炎症・腫瘍、膣内異物、膣血管の異常、凝固異常などが挙げられる。
・長引く出血では病院での検査が必要となる。
 

文責:獣医師 棚多 瞳

先頭へ

電話受付