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1月20日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「犬猫のドライアイ」についてでした。

 今回は「ドライアイ」について述べる。犬、猫ともに認められるが、犬に多い疾患である。猫は犬に比べて瞬目(まばたき)回数が少ないが、それは涙膜がより安定しているからと考えられる。

まず、涙(涙膜)とは?
 涙膜は角膜、結膜上皮を覆っており、角膜の潤滑、栄養および保護といった機能を持つ。
 涙膜は大きく分けると外側から脂質層、中間の水分層、内側のムチン層から成る。(ただし、涙膜には各々の層が複雑に混ぜ合わさった部分が存在する。)

脂質層:蒸発による涙膜の減少を少なくし、涙膜の安定性を強化する。大部分は眼瞼縁上のマイボーム腺より供給されている。マイボーム腺の開口部は眼瞼縁上の粘膜上皮接合部のちょうど手前で明瞭に観察できる。
水層:涙腺、副涙腺、瞬膜腺より産生さえる。その大部分は涙腺で産生され、涙腺は眼球の背外側面上では眼窩周囲に位置する。
ムチン層:結膜や角膜の上皮細胞から放出され、涙膜の構造を完全な状態に維持するために重要な役割を果たしている。ムチン層があるために涙膜は角膜表面を隙間無く広がることができる。

ドライアイの原因は?
ドライアイの原因は各層に分けて考えると分かりやすい。

最も多いものが水分層の欠乏である
 ・免疫介在性疾患
 ・全身性疾患
 ・外科手術(瞬膜腺の切除)
 ・外傷
 ・顔面神経障害
 ・涙腺毒性物質(サルファ剤など)
 ・老化
 ・代謝性疾患(甲状腺機能低下症など)
 ・特発性
 ・鎮静薬と麻酔薬(涙液産生の一時的な減少を引き起こす)
 ・涙腺、瞬膜腺を支配する神経の低形成あるいは形成不全(好発犬種はヨークシャテリア、パグなど)
②マイボーム腺の機能異常(蒸発性ドライアイを引き起こす)
 ・マイボーム腺炎
 ・さん粒腫(マイボーム腺分泌物の停滞が原因となる)
 ・マイボーム腺の数と分布の異常
 ・皮膚や粘膜などの全身性疾患
③ムチン層の異常
 ・火傷
 ・免疫介在性疾患
 ・感染
 ・慢性炎症
④涙膜の分布障害
 <眼瞼疾患>
 ・発育障害(大眼瞼裂、眼瞼内反・外反)
 ・第三眼瞼欠如
 ・感染
 ・老化
 ・眼瞼・結膜・角膜の腫瘤
 <突出した眼>
 ・ペキニーズ、パグなどの犬種
 ・緑内障
 ・眼球脱出
 その他、神経障害などもあげられる。

ドライアイになるとどうなる?
 乾性角結膜炎に罹患しやすくなる。
 ・具体的な症状としては、角膜の光沢が欠如し、疼痛を認める。ほとんどの症例で眼脂が認められ、黄色あるいは緑色かつ粘着明瞭である。慢性化した場合では、結膜の肥厚、角膜の血管新生、角膜の色素沈着を生じる。
 <乾性角結膜炎に罹患しやすい犬種>
 ウエストハイランドテリア、キャバリアキングチャールズスパニエル、シーズー、イングリッシュブルドック

治療法は? ①人工涙液
 ②涙腺刺激薬(シクロスポリン)
 ③粘液溶解薬
 ④抗生物質
 ⑤抗炎症薬
※点眼薬は眼脂を取り除いた後に点眼することが重要である。
※残念ながら、生涯にわたる治療が必要となるケースが多い。
※人では涙点をプラグで塞ぐという治療が行われている。涙は涙点とそれに続く鼻涙管によって鼻に排出されている。その排泄口である涙点を塞ぐのだ。犬や猫でも新たな治療法が発見され、生涯にわたる点眼苦から開放される日が来ることを期待したい。

文責:棚多 瞳

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