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2月10日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「過敏性腸症候群(IBS)」でした。

<今日のワンコ>
 今回は6歳の♂のチワワで、約8ヶ月間、再発性の嘔吐を繰り返した症例である。糞便検査、血液検査などに異常を発見できず。消化管バリウム造影にて小腸の運動亢進を認めた。全身麻酔の必要性から内視鏡による消化管生検などの精査は実施せず、診断的治療として抗コリン作働薬を投与したところ、吐気や嘔吐、腹痛などの症状が速やかに消失した。これより、本症例を「過敏性腸症候群」と診断した。

<今回のテーマ>:「過敏性腸症候群(IBS)

 嘔吐の原因として考えらえるものは多い。まずはそれらの原因の一般的なものについて列記する。
代謝/内分泌異常
・尿毒症 ・副腎皮質機能低下症 ・糖尿病 ・甲状腺機能亢進症 ・肝臓疾患 ・内毒素血症/敗血症 ・肝性脳症 ・電解質異常 ・酸塩基異常 etc
中毒物質
薬物
・強心配糖体 ・化学療法薬 ・アポモルヒネ ・キシラジン
・エリスロマイシン、ペニシラミンなどの抗生物質 ・NSAIDs etc
腹部の異常
・膵炎 ・腹膜炎 ・腫瘍 ・肝胆道疾患 etc
食餌の原因
・無分別な行動(大食など)・不耐性 ・アレルギー etc
胃の異常胃炎
・ヘリコバクター感染症 ・寄生虫 ・潰瘍 ・腫瘍 ・異物 ・拡張‐捻転
・裂孔ヘルニア ・閉塞 ・運動障害 etc
小腸の異常
・炎症性腸疾患(IBD) ・腫瘍 ・異物 ・腸重積 ・寄生虫 ・パルボウイルス
・細菌の異常増殖 etc
大腸の異常
・大腸炎 ・便秘 ・寄生虫 etc

 
 これらの他、消化器症状(嘔吐も含め)を示すものとして過敏性腸症候群がある

 <過敏性腸症候群(IBS)>
●人ではストレス社会において増加の一途を辿っており、テレビコマーシャルでも放送されるほど一般的な疾患となりつつある。
●人の過敏性腸症候群とは、消化管運動異常、内臓知覚過敏、心理的異常が関与しており、過去3ヶ月間、月に3日以上にわたって腹痛や腹部不快感が繰り返しおこる。ストレスが要因となることが多い。
犬の過敏性腸症候群も再発性で急な腹痛、腹鳴、下痢を特徴とし、腸の運動障害が主な原因ではないか、と考えられている。器質的病変を認めず、機能的障害を認める
●ただし、診断方法はやっかいである。診断は、基本的には他のすべての考えられる原因を除外することで行う。
●確立された治療法はないが、①抗痙攣剤(抗コリン作動薬、平滑筋弛緩薬)投与、②精神安定薬投与(ジアゼパム、クロルジアゼポキシドなど)、③食事変更(低脂肪食、高線維食)が行われている。治療と食事の変更でうまくコントロールできる場合も多い
●犬においてこの疾患の原因は完全には解明されていないが、可能性のある原因として食物繊維不足食物不耐性ストレス神経の機能異常がある。ストレスが誘因となることがあるため、家庭環境の変化、長時間の置き去り、飼い主の溺愛などストレスの原因となる行動は避ける。犬は意外とストレスに弱い

文責:獣医師 棚多 瞳

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