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3月3日のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは急性フィラリア症です。

<今日のワンコ>:急性フィラリア症 
 年齢不詳の♂のシーズー(10歳以上)。1週間前に保健所から譲り受けた。検診で来院したが、聴診で心雑音が聴取され、フィラリア成虫が肺動脈から心臓内に移動しており、三尖弁に絡んで三尖弁閉鎖不全症を呈していた。ブラシ鉗子という専用の医療器具を頸静脈より右心房に挿入し、これに絡ませて5隻摘出した。

<今日のテーマ>:「今日のワンコ」と同じ急性フィラリア症
●予防法が確立された病気はほぼ克服できたに近い。だが、フィラリア症の場合は予防をしてくれない飼い主がいるため、残念ながら、現在進行形の疾患である。
●フィラリア症の病態は、フィラリア成虫が物理的かつその排泄物よって、肺動脈の血管内皮を傷め、その傷んだところに血小板が凝集して血栓が形成され、末梢へ次から次に飛ばされて血管を塞ぐ。これにより、肺動脈の血管抵抗が上昇して肺高血圧症を呈するようになる。これが進行(悪化)すると、発咳や肺水種、失神、腹水・胸水などの症状が現れる。これが慢性のフィラリア症である。
●急性フィラリア症は血尿や頸静脈拍動、心雑音を呈する。肺動脈内に寄生したフィラリア成虫が何らかの原因で心臓内に移動する。これに因る一番の問題は、フィラリア成虫が右心房と右心室を仕切る三尖弁に絡み、弁の閉鎖不全を起こすことで、心不全状態になることである。雑音は弁の閉鎖不全に因って、血液の乱流や赤血球同士の衝突による。閉鎖不全やフィラリア虫体によって血液の乱流や衝突が起こり、血液が壊されることで血尿が起こる。心臓内の圧が上昇し、正常では拍動しない頸静脈も拍動するようになる。
●どのような機序で成虫が肺動脈から血流に逆らって心臓内に移動かの原因は不明だが、(一隻の)フィラリア成虫の死に随伴して移動することが推測されている。これはフィラリア成虫を擂り潰した濾液をフィラリア感染犬に投与すると、同じ現象が起こることが判っている。
●フィラリア予防歴が不明の場合、フィラリア感染の有無確認が重要。
●診断は心雑音の聴取、モノクローナル抗体を用いた抗原検査とフィラリア仔虫を血液で調べる。確定診断は、超音波検査で心臓内のフィラリア成虫を確認する。
●治療は全身麻酔で、患犬の全身状態が極端に悪い場合には鎮静剤と局所麻酔のみで手術する場合もある。
●術後は、肺動脈に残る成虫の駆除を行うか、あるいは予防の開始はどうするかなど、慎重な作戦立案が大切である。

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