コンテンツへスキップ

6月23日のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「犬のてんかん発作の誘発因子」についてです。

<てんかん発作とは>
●「発作または痙攣は大脳皮質の過剰なあるいは同調性が亢進した電気活動が臨床症状として現れたものである。その結果、意識の喪失または低下、筋肉の緊張度の変化、顎をくちゃくちゃさせるかまたは開口障害、流涎、そして多くは無意識での排尿、排便が起こる。犬や猫の大部分は、強直性・間代性の全身性(対称性)発作を起こし、その間動物は伸筋の緊張が極度に増して(強直)その後横たわり、そして強直期と弛緩(間代)期を交互にくりかえし、結果的に筋肉が律動的に収縮し、遊泳運動や顎をくちゃくちゃさせる動きがみられる。」。
●「場合によっては、実際の発作の前に、数分~数時間にかけて、隠れる行動、探査行動、動揺といった異常行動(発作前段階)が起こることもある。他には、発作が睡眠中に始まる、あるいは特定の刺激や出来事(くりかえす音、チラチラと瞬く光)で誘発されることもある。」。
●「大部分の動物において、各発作の後には短期間の見当識障害を伴い(発作後段階)、その間には、運動失調、失明、不整脈、痴呆が起るのが一般的である。」。

<てんかんの原因>
1.特発性てんかん=原発性てんかん発作:生後6カ月齢から4歳例までに起こる
2.反応性てんかん発作=頭蓋内の原因
①中毒、②代謝性疾患、③低血糖、④肝疾患、⑤低カルシウム血症、⑥高脂血症、⑦過粘稠度症候群、⑧電解質バランス異常、⑨高浸透圧症、⑩重度尿毒症
3.二次性てんかん発作
①先天性奇形、②水頭症、③脳回欠損、④腫瘍(原発性腫瘍/転移性腫瘍)、⑤炎症性疾患、⑥感染性炎症疾患、⑦肉芽腫性髄膜脳炎、⑧壊死性脳炎、⑨血管系疾患(出血/梗塞)、⑩瘢痕組織、⑪後天性てんかん、⑫代謝蓄積症、⑬変性性疾患

<ヒトでのてんかん発作の誘発要因>
①熱発(特に乳幼児期)、②情緒的要因(恐怖・興奮・不安などの心理的要因)、③精神的弛緩(緊張以上に発作発現に関与=対策困難)、④月経(月経前~月経中に集中)、⑤睡眠不足・疲労(規則的な生活が重要/睡眠不足は臨床的に最も多く経験される発作の油誘発因子)、⑥入浴、⑦嗜好品(コーヒー・刺激香辛料類は通常の摂取量では問題ないが、コーヒーは夕方以降飲まない・過度の飲酒は避ける)など。

<イヌのてんかん発作の誘発因子>
①発情期。
②特定の薬物(特にフェノチアジン)。
③ストレス。
④興奮。
⑤睡眠。
⑥特定の刺激や出来事(くりかえす音、チラチラと瞬く光)。
⑦体温上昇・呼吸性アルカローシス・低カリウム血症。

<最近の研究>
○麻布大学附属動物病院神経科に来院した、てんかん発作を起こしたことのある症例犬を対象。
○はじめに、てんかん発作の誘因因子として考えられる事項の有無をアンケート調査した(40頭)。
その結果
●「発作に誘発因子があると思うか」とのアンケートにYESと答えた飼い主は57%。
●気圧変動・月齢(月の満ち欠け)・情動変化などヒトにおいてもてんかん発作の誘発因子としてよく研究されているものが多く含まれていた。
●気圧に関しては、発作前48時間以内に6hPa以上の気圧変動があった場合に発作頻度の有意な上昇を認めた。
●月齢については、一部の症例で満月周囲での発作数の有意な上昇と、満月を過ぎて新月になるまでの間の発作数の有意な減少が認められた。
●情動の変化では、5頭中4頭において、イベント後はてんかん発作が起こり易いという結果が得られた。

<結論>
◎ヒトと同じように犬のてんかんにも「発作の誘発因子」が存在する。
◎気圧変動の著しい場合には投薬などを怠らないよう留意する。
◎シャンプー時は注意を要する。過度の興奮は避ける。

<余談>
 地震などの災害での前兆現象や、天気の予報にさまざまな自然現象が応用できないか??? 関西経済同友会の中の「関西サイエンス・フォーラム」が今春、地震予知シンポジウムを開いた。下は地震の前兆として取り出さされている現象
①よその県域のFM放送が聞こえる日が今回の大震災の8ヶ月前から続いた。
②東北地方では地震の40分前からラジオの電波を反射する電離層に電子の数が増えた。
③ラジオで雑音が入る。
④井戸の水位が減ったり、濁ったりする。
⑤阪神大震災の前には神戸市の改定から熱水が出た。
⑥野鳥が群がったり、地中の動物がはい出したりする。
⑦魚は豊漁になる。

 科学が進歩した今も地震予知は不可能であることが今回証明された。今まで見向きもされなかった前兆現象に光が当りつつある。「てんかん」にも誘発因子や前兆の解明が進めば、罹患動物および飼い主にとっても光明である

先頭へ

電話受付