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9月15日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「尿失禁の原因」でした。

 今回は「尿失禁の原因」について述べる。尿失禁とは、自分の意思とは無関係に尿が漏れることである。

そもそも、排尿はどのように生じるのか? 膀胱に尿がたまる→膀胱壁に分布する伸張受容器が刺激→仙髄→膀胱の収縮・尿道括約筋の弛緩→排尿となる。犬ではこの反射が間歇的に起こるため、1~2秒ずつ尿排泄を生じる。

尿失禁の原因にはどのようなものが考えられるのか?
尿の通過障害
 ・原因としては、尿道結石、尿道の腫瘍、尿道炎などがあげられる。
 ・雄犬では前立腺肥大、前立腺嚢胞、前立腺腫瘍などの前立腺疾患によるものも多い。

脊髄損傷や自律神経障害
 ・脊髄損傷は、交通事故や椎間板ヘルニアなどにより生じる。
 ・たとえ歩行可能であっても損傷部位によっては排尿困難を認めるケースもある。この場合、尿が膀胱に過剰に溜まると溢れ出る。尿失禁だけでなく会陰反射の消失も認める。原因として仙腸関節脱臼、仙尾椎の骨折などがあげられる。

排尿筋の収縮がうまく調節できない
 ・膀胱に尿が一定量溜まっていないのに排尿筋が収縮してしまう。そのため、少量の尿を頻回に排泄する
 ・強い尿意を伴う
 ・原因には、尿結石、腫瘍、尿路感染症(膀胱炎など)による二次的なものと特発性(原因が見つからない場合)がある。二次的なものでは、有痛性排尿や排尿困難といった症状を伴うこともある。

尿道括約筋機能不全
 ・人では咳やくしゃみ、運動時など腹圧が上昇する時に認められるが、犬では安静時や睡眠時に認めることも多い。
 ・失禁時の尿量は、ぽたぽた垂れる程度の少量のものから、通常の排泄時のようにある程度の量が漏れるものまで様々である。
 ・避妊した雌の成犬では尿道括約筋機能不全による失禁をよく認める。避妊後数ヶ月~数年で生じ、中型犬~大型犬で多く認められる。症状を認める年齢は平均8歳である。
 ・肥満や膣の解剖学的異常は症状を悪化させると考えられている。

解剖学的異常
 ・異所性尿管
 ・尿道が短い
 といった異常が認められる場合があり、幼若な動物でも失禁が認められることがある。

その他
 膣炎多尿、便秘などが原因となることもある。

雄犬では雌犬に比べ失禁は少ない。雌犬でよく認められる尿道括約筋機能不全は雄ではあまり見られない。

文責:棚多 瞳

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