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9月22日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「ダックスフントの炎症性大腸ポリープ」です。

<今日のワンコ> 
 9歳、雄のダックスフント。現在の主訴は「血便」と「しぶり」。昨年(平成22年)11月、肛門から直腸の腫瘤らしきものが脱出し、他の病院で切除手術を受けた。その後は抗生剤やステロイド剤、胃腸剤を服用するも状況は改善されず。直腸検査で肛門から10cmあたりにゴツゴツとしたカリフラワー状の粘膜腫瘤を触知する。手袋に付着した血液を含む粘膜様物を細胞診したところ、ポリープが疑われた。確定診断のため、全身麻酔下で直に観察し、生検を実施。組織検査の結果は炎症性ポリープであった。

<今日のテーマ>
●ダックスフントは椎間板ヘルニア、進行性網膜委縮、網膜変性、乾性脂漏症・・・など遺伝性疾患の宝庫である。
●このところ、ダックスフントの大腸(主に直腸、あるいは直腸と下行結腸の境界付近)に単発性・多発性の非腫瘍性の「炎症性ポリープ」が散見されるようになった。最近の学会でも良く発表されている。
●アメリカなど外国での報告は少ないので、「日本のダックスフントに特有な疾患」との位置付けが浸透しつつある。食物などのアレルギ―疾患との関連性を指摘している獣医師もいるが原因は不明悪性腫瘍化するとの報告もある。
●症状は血便・しぶり・粘液便などである。
●診断は直腸検査・細胞診(糞便検査)・生検・バリウム造影・内視鏡検査・肛門鏡検査・組織検査(生検)などで、直腸検査で比較的容易に仮の診断が可能であり、悪性でない確認のため生検を行わなければならない
●治療は内科的と外科的療法があるが、徹底した内科療法を実施し、効果が不十分であれば外科的手段を考慮するべきである。
●内科的療法にはアレルギー食の給餌・ステロイド剤・抗炎症剤(人の炎症性腸炎や
潰瘍性大腸炎に使用する薬物)・抗生剤や止血剤
などを使用する。
●外科的療法は病変部の直腸を肛門外に引っ張り出して切除する。多くの病変は骨盤内にあるため、開腹しての腸管切除→腸管吻合の手術は適応し難い。人のように人工肛門の設置は管理上の面から、一般には実施されない。また最近では、アルゴンプラズマ凝固療法(人医での花粉症やアレルギー性鼻炎で適応)を応用している報告もあるが、今後の症例の集積が待たれる。※アルゴンプラズマ凝固療法:電気メスの止血モードの高周波電流をアルゴンガスとともに流す。組織を浅く均一に凝固する。
●下痢や血便を呈する病気は多いが、直腸の悪性腫瘍は犬では比較的稀なため、しつこい通常の内科療法に反応しない難治性のもので、特にダックスフントの場合は本症が強く疑いわれる。直腸検査などで比較的簡単に診断が可能であり、早期発見できれば、手術なしで、内科療法で維持・改善が可能なケースが少なくない。個人的には外科療法は勧めない。

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