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10月20日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「多飲・多尿の原因」についてでした。

 今回は「多飲・多尿の原因」について述べた。犬や猫が多飲・多尿の症状を示すとき、何らかの疾患が関与している場合が多い

まず、正常な飲水量・尿量はどれくらいなのか?
1.正常な1日の尿量は、1㎏当たり犬で45ml、猫では40ml以下である。

2.正常な1日の飲水量は、1㎏当たり犬で90ml、猫では45ml以下である。
 通常の食餌であれば、摂取カロリーと飲水量はパラレルとされる。例えば、50kcal/kg/日のカロリー摂取の場合の飲水量は50ml/kg/日である

3.このように、猫と犬では尿量に大きな差は無いが、猫は犬に比べ飲水量が少ない。これは猫の祖先が砂漠出身(猫の起源はエジプト・リビアのリビア砂漠とされる)であることと関係している。また、同じ犬でも4㎏以下の小さな犬では、飲水量が増える傾向がある
 その他、飲水量はフードの種類(特に塩分含量)や活動量によって大きく異なることを忘れてはならない。

正常の飲水量・尿量を超えるのを多飲・多尿というが、原因にはどのようなものが考えられるのか?
1.犬や猫が多飲・多尿の症状を示すとき、その多くで何らかの疾患が関与している。犬や猫では、多くの場合、多尿によって多飲を生じている

2.多尿の原因として犬で多いものとしては、腎不全、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)、糖尿病、猫で多いものは、腎不全、甲状腺機能亢進症、糖尿病がある。その他、尿崩症、腎盂腎炎、副腎皮質機能低下症、尿道閉塞解除後、子宮蓄膿症、高カルシウム血症、低カルシウム血症、肝不全、塩分や糖の過剰摂取、蛋白制限食などがあげられる。また、利尿剤、糖質コルチコイド(ステロイド)、抗痙攣薬などの薬によっても多尿が引き起こされる。

3.多尿によらない多飲の原因としては、問題行動、発熱、疼痛、心因性(犬)などがある。人では下垂体前葉の腫瘍、外傷、炎症により多飲が引き起こされるが、犬や猫ではその報告はない。

4.また、中毒でも多飲・多尿の症状を示すことがあり、具体的には、エチレングリコール(不凍液に含まれる)、ユリ、レーズンやブドウといったもとがあげられる。猫はユリの誤食で重篤な急性腎不全を、犬はブドウやレーズンの摂取により生死に係る重度の急性腎不全を呈するので、要注意!!!

まとめ
1.※※犬や猫の多飲・多尿は何らかの疾患により引き起こされていることがほとんどで、健康診断や定期健診、早めの来院が早期発見につながる

2.特に、腎不全では、食欲の低下が認められる以前から多飲・多尿が認められているケースが多く、早期治療により腎不全の進行(進展)を緩徐にすることができる。

文責:獣医師 棚多 瞳

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