コンテンツへスキップ

12月8日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは外科シリーズ2・「トイ犬種の前腕骨骨折」です。

小型犬(トイ犬種)の前腕骨骨折=撓尺骨骨折の手術について

●トイ・プードル、パピヨン、チワワ、ポメラニアン、イタリアン・グレー・ハウンドなど。
●前腕骨は撓骨と尺骨からなり、全例と言っていい位、同時に骨折する。
●骨折の部位は前腕の3分の1遠位端が殆ど。
●ソファや椅子などから降りたり、抱いていて落ちることで、簡単に骨折する。
●軽度の亀裂骨折以外は手術が必須。

●手術はプレートと螺子(ネジ=スクリュー)による固定法に限る。
●ピン(キルシュナー)では回転の力が加わり、ギブスのみによる場合と同様に癒合不全を起こす可能性が極めて高い。
●一旦癒合不全を起こすと、その後の手術では手間や治療費もかさむ。大がかりなプレート装着や骨移植が必要となる場合もある。
●前腕部は細く筋肉に乏しいため、また運動により力の負荷も掛かり易いため、何度も手術を行わないことが肝心。
一度の手術で100%成功する覚悟が必要。

●1度装着したプレートや螺子は、中型犬や大型犬と異なり、一般的には除去しない。
●動物では、その寿命が短いことから、骨肉腫やそれらの周囲組織の腫瘍(癌)発生は考えなくてよい
●しかし、最近では「段階的強度減弱減弱」と呼ばれる、段階的にプレートと螺子を除去する方法がある。
●まず術後2~3ヶ月目に螺子半分を除去し、術後5~6ヶ月目に残りの全部(プレートと残りの螺子半分)を除去する方法。
●これは、骨癒合後に見られるプレート直下の骨委縮が経時的に進行するインプラント誘発性骨粗鬆症」を防止するため。
●この「インプラント誘発性骨粗鬆症」の原因は、プレート自体が撓骨表面を被覆することによる血行障害と、固定強度が高いことによる「ストレス遮断現象」が関連している

●これらの問題を解決する方法は・・・
手術時は、神経は勿論、血管や筋肉などの組織は極力優しく(gentle)に扱う
プレートは細めで短めを使用し、螺子は最低限数を使用する
螺子は締めすぎない
術後はギブス固定を2~3週間しっかり行い、併せてケージレストも確実に実施する
トイ犬種の前腕骨骨折では使用したプレートと螺子の除去を行わなくて良い。「インプラント誘発性骨粗鬆症」を防ぐ目的で、骨折整復後にさらに2度も手術する必要性は全く無い、と断言できる

先頭へ

電話受付