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5月17日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「外科手術・第9弾:雄猫の尿閉の手術」についてでした。

○雄猫の尿道閉塞(尿閉)は、犬猫の尿道疾患で最も多い疾患である。
○理由は、猫では特発性出血性膀胱炎や尿石症、尿道炎などの疾患が多い。炎症産物や血餅、結石などがプラグ(栓子)として尿道を閉塞する。
○手術をしなくて済むような、初期の、適正な処置が必要。ソフトな細いカテーテルを用いたフラッシュで栓子を膀胱内に逆走させる。Gentleな操作が肝腎である。
○猫は犬に比べて膀胱の拡張する(尿を貯留させる)容量が少ないため、症状(腎不全や尿毒症)が早く出る。2日も排尿できなければ、尿毒症で死亡するか、膀胱破裂となる。なるべく(可能な限り)早期の来院が必要。
○経過が長かったり、不適正な処置(尿道に損傷を加えるような手荒い処置)では手術を余儀なくされる。尿石症など原因疾患の治療も並行して行う。
○術式は、陰嚢ともども会陰部の皮膚を切開し、通常は去勢も行い、それからペニスを奥深く尿道球腺の極手前まで周りの組織と分離し、左右の坐骨海綿体筋を坐骨粗面とペニスから切断・分離し、その中央でかつ腹側に坐骨と線維結合する部位を切断。※尿道球腺液の生理的機能は、交配時の潤滑油的役目と精液のpHを上げて精子の活力を保持する。
○その後、陰茎後引筋を同じくペニスから分離する。
○尿道を切開し、切開線に沿って左右の粘膜と皮膚と縫合する。
○著しく損傷され、カテーテルの挿入もままならぬ場合には、腹部切開して尿道を腹壁に腹膜・腹直筋・皮下織・皮膚を貫通させて移植する。新しく開口する尿道と縫合する皮膚は最後乳頭を選択する。これも術後の尿道開口部皮膚の委縮を最小限にするためである。

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