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今週の症例(2013年1月28日)No.1:猫の子宮蓄膿症

[症例]:2歳で体重が2.5kgの雑種♀猫。1週間前から腹部膨満に気付く。食欲・元気もやや低下。
[診断]:腹部エコー検査とレントゲン撮影で子宮蓄膿症と診断。
[手術]:術前輸液を実施し、準救急の子宮卵巣摘出術を実施。両側の尿管は子宮と強固に癒着しており、これほど重度の子宮蓄膿症は極めて稀であった。摘出した子宮腔内には膿液が大量に貯留していて子宮は550g(術前体重の5分の1以上)もあった。
当院では手術終了後(多くは退院時)、術中の写真と摘出した臓器を飼い主に見てもらうが、このシリーズでは従来通り、レントゲン写真のアップまででとどめる(あまりにリアルでグロテスクなケースも少なくないため)
[術後経過]:手術翌日に退院し、術後5日目に術創の傷見と血液検査を行い、術後12日目に抜糸して完治。

[ワンポイント講義]:子宮蓄膿症とは・・・
①子宮内の細菌感染による炎症から子宮腔内へ膿液が貯留する疾患。
猫は交尾排卵動物なので黄体期になることが少ないため、本疾患の発症は少ないが不妊交尾後の黄体期や自然排卵する猫において発症する。若齢で発症することが多い
③犬では妊娠の有無に関わらず、プロジェステロン分泌が約2カ月続くため、ホルモンの影響を受けて肥厚増殖した子宮内膜は細菌感染が起こりやすくなる。多くは発情後1~2カ月で発症する。
④食欲不振、元気消失、発熱、多飲多尿、嘔吐、腹部膨満などの症状が認められる。治療は外科的に卵巣・子宮摘出術を行うのが一般的である。
本疾患に限らず、逃亡やケンカ、乳腺腫瘍の予防のためにも初回発情前の避妊手術が望ましい

文責:獣医師 藤﨑 由香

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