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今週の症例(2013年11月1日)No.23:東洋眼虫の寄生による結膜炎のM.ダックス

[症例]:8歳雌のミニチュアダックス。
[主訴]:3日前からの眼やに。顔をこするしぐさあり。
[診断]:瞬膜嚢内に寄生する東洋眼虫を確認。東洋眼虫寄生による結膜炎と診断。

[ワンポイント講義]:
東洋眼虫は半透明な乳白色の約1~2cmの旋尾線虫。犬、まれに猫や人の結膜嚢、瞬膜嚢に寄生。特に九州、関西地方で多く見られるが、近年分布が北上傾向。
ショウジョウバエ科のメマトイが感染犬の眼瞼に纏わり、涙を舐める際に涙とともに東洋眼虫の幼虫(第1期幼虫)を飲み込む。飲み込まれた第1期幼虫はメマトイの体内で感染幼虫(第3期幼虫)まで発育して、口器にて待機する。ハエが再度動物の涙を嘗める時、涙の中に泳ぎ出た第3期幼虫はさらに発育して成虫となり、感染後35日で第1期幼虫を産出する、という生活環(ライフサイクル)を形成している。※東洋眼虫は卵胎生であるから、いわゆる”虫卵”を涙内には見出せない。
結膜充血、羞明、顔を擦りつけるなど急性結膜炎の症状を示す。その後慢性結膜炎に移行する。重症の場合には角膜白濁、眼瞼周囲炎、失明する場合もある。
虫体の摘出を行い、結膜炎の治療(目薬)を行う。虫体の摘出はおとなしい子であれば無麻酔で実施可能である。本症例は点眼麻酔で摘出実施。
予防はメマトイとの接触を避けることである。
東洋眼虫は”人獣共通”に感染するので人も要注意である。

文責:獣医師 藤﨑由香

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