コンテンツへスキップ

今週の症例(2014年3月4日)No.35:猫の変形性(退行性)関節炎の1例

[症例]:12歳の雑種猫、去勢雄。以前から右後肢の間欠的跛行が認められていたが、前日からひどくなったということで来院。
[診断と治療]:来院時、歩行可能だが右後肢にあまり負重していない様子が認められた。レントゲン検査を実施したところ、左右足根関節に関節炎所見、骨棘形成を認めた。変形性関節炎と診断し、非ステロイド性消炎鎮痛剤を処方。

[ワンポイント講義]:今回は猫の変形性(退行性)関節炎について述べる。
関節炎は猫、犬どちらでも認められる疾患であり、特に12歳を超えた猫では約90%が持っているという研究報告もあるほど、高齢ではよく認められる。関節炎はレントゲン撮影、関節液の検査、全身性疾患の有無によってさまざまなタイプに分類される。詳しくは以前の記事を参照。http://tabaru.9syu.net/case/perm/244.htm
症状は疼痛、跛行、関節の発熱・腫脹など。しかし、猫の多くは明らかな跛行を示すことは少なく、運動性・活動性の低下、食欲不振、沈鬱や攻撃性の増加などの性格変化、不適切な排泄、グルーミングの減少といった行動の変化異状を示すことが多い。また、病院内では固まってしまい動かなくなってしまう子も多いため、家での様子観察が重要になる。
治療は原因によって異なるが、最も多く見られる変形性(退行性)関節炎では疼痛を軽減し、症状の悪化を阻止することを目的として鎮痛薬を使用する。近年、猫でも安全に使用することができる非ステロイド性抗炎症薬が登場し、猫での治療がしやすくなっている。
日頃の生活環境も改善する必要がある。段差をなくす、食事や水の位置を飲みやすい高さに工夫する、トイレの入り口や眠るスペースを低い位置にしてあげることなども必要である。またグルーミングの減少が見られる場合にはブラッシングをしてあげる必要がある。
肥満は関節の負担を増大するため減量が必須である。適正な体重管理で症状が軽減することも少なくない。
関節用サプリメントや関節疾患用のフードも販売されている。グルコサミンやコンドロイチンは軟骨変性の遅延、軟骨修復に有用であると言われる。また、猫ではDHA(ドコサヘキサエン酸)の投与が効果的であるという報告もある。

まで年齢のせいだと思っていた行動の変化も実は関節炎の痛みの影響かもしれません。日頃の生活環境と体重管理が重要です!

文責:獣医師 藤﨑 由香

先頭へ

電話受付