コンテンツへスキップ

6月20日(金)のMRTラジオ「ドクター・ヒデのワンニャン譚」は「犬猫の血液型と輸血問答」でした。

(藤﨑)今日は血液型についてお話します。

(戸高アナ)人は血液型で性格が分かる!なんて言われるくらい血液型は身近ですが、そういえば犬猫の血液型は人と同じですか?
(藤﨑)もちろん、違います。もしそうであればお互い輸血できてすごくいいですよね。人の血液型の分類方法はなんと約300あると言われていますが、一般的な血液型というとA、B、O、ABの4つに分類するABO式がよく知られていますよね。その血液型の比率は人種や地域によって異なりますが、ご存じのとおり日本ではA型が最も多く39%、次いでO型が29%、B型が22%、AB型が10%という結果があります。

(戸高アナ)Rh+というのも聞いたことがありますが、これも血液型ですか?
(藤﨑)Rh式と呼ばれ、赤血球膜抗原であるD抗原によって分類したもので、Rh+とRh-が存在します。日本人の99.5%がRh+であると言われます。

(戸高アナ)血液型というとよく知っているABO式が浮かびますが、実はいろいろな分類の仕方があるのですね。犬猫も同じなのでしょうか?
(藤﨑)猫の臨床で利用している赤血球型は、人の血液型の分類と似ていて、A、B、AB型に分類するABシステムという方法が一般的です。日本の猫ではA型が90%を占め、B型がブリティッシュショートヘアーなど特定の純血種で少数存在し、AB型は極めて稀です。

(戸高アナ)猫ではO型はないのですね。では猫同士輸血ということは可能ですか?
(藤﨑)人と同じように血液型が合えば輸血は可能ですが、合わない血液を投与するとショック症状を引き起こしてしまう為、万一輸血が必要な場合には適合試験が必要になります。適合試験によって輸血が可能か否かを判定するわけですが、この方法は血液交差適合試験、またはクロスマッチテストと呼ばれています。供血側(ドナー)の血液と貰う側(レシピエント)の血液とを混ぜて血球の凝集を見るものです。このクロスマッチテストは、ABシステム以外の血液型全般の適合も同時に判定出来ることから、輸血による副作用を最小限に減らすことが可能です。A型の猫は先天的に抗B型抗体、B型の猫は抗A型抗体を持つため同じ血液型の猫同士でないと輸血することはできません。しかし、日本では通常90%がA型で、血液型が異なる場合は交差適合試験に合格しないため、交差適合試験だけを通常実施しています。

(戸高アナ)人と同じようにA型の猫にB型の猫の血液を輸血することはできないのですね。では犬はどうでしょうか?
(藤﨑)犬では人や猫のようなABシステムはなく、最も広く知られているのは6つの赤血球抗原を認識するものです。その中でもDEA1.1陽性、DEA1.2陽性どちらも発現しないnullという、大きく3つに分類するのが一般的に知られています。これは急性溶血性輸血反応を引き起こすため重要とされていますが、犬は人や猫と異なり先天的に他の血液型に対する抗体を保有していないため、初めて輸血する場合には違う血液型であっても輸血することが可能です。2回目以降や病気によっては抗体が産生されている可能性があるため注意が必要になります。

(戸高アナ)初めての輸血の場合にはDEA1.1陽性の犬にDEA1.2陽性の犬の血液型を入れても大丈夫ということですね?
(藤﨑)そうです、交通事故や手術中など大量出血するような救急の場合には検査せずに輸血するような場合もありますが、基本的には副作用のリスクを最小限にするために猫同様にクロスマッチテストを実施して適合することを確認してから輸血するようにします。

(戸高アナ)猫は人に似ていましたが、犬は全然違いますね。

(藤﨑)もうひとつ人と犬猫には大きな違いがあります。それは血液バンクの存在です。人では輸血が必要になった場合にはあらかじめ献血された血液を使用することが、犬猫では一部大学病院等を除いて血液バンクを持っていません。そのため犬猫ではまずドナーの確保が大きな課題になります。ドナーになるには体格や年齢、健康状態、ワクチン接種やノミ・ダニの予防など感染症のコントロール、輸血歴、妊娠歴など様々な条件を満たさなければなりません。輸血が必要になるような状態にならないことが1番ですが、いざという時のためにお互い協力し合える犬友、猫友を日ごろから作っておくことをお勧めします。

文責:獣医師 藤﨑 由香

先頭へ

電話受付