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7月18日(金)のMRTラジオ「ドクター・ヒデのワンニャン譚」は「人と犬猫の嗅覚」でした。

藤崎:今日は犬猫と人の嗅覚についてです。犬・猫の起源は約1500万年、人は約600-700万年前と言われます。「わずかな兆候から役に立つ事柄を見つけ出す能力をもっている人」のことを『鼻の利く人』と言いますが、現代のように言葉や道具をもつ前の我々の祖先は犬猫までとは言わなくとも相当の嗅覚を持っていたのでしょうか。

戸高アナ:人間が進化・発展するほど感覚が退化してきたことはよく言われますが、今の犬猫と人間の嗅覚能力の差はどの程度と考えられますか?

藤崎:その前にまず、どうやって臭いを嗅ぎ分けているかについて簡単にお話しします。鼻腔の最も奥の部分に嗅細胞があります。化学受容細胞である嗅細胞で感知され、その電気信号は嗅神経を伝わり、嗅球へと伝わる。そこから視床下部や大脳皮質などに伝わり、色々な情報処理をされて臭いとして認識されます。嗅覚の感度は猫は人の約数万~数十万倍、犬はなんと約1億倍とも言われます。これは人が感じることができる濃度の数万~数十万分の1や1億分の1の濃度でも感知できるということになります。

戸高アナ:なるほど、相当な違いがあるのですね。人も昔はそれなりの嗅覚を持っていた可能性がありますね。嗅覚というと警察犬が浮かびますが、シェパードが多いのには理由がありますか?
 
藤崎:ジャーマンシェパードは幼少期にきちんとしつけると、知的で忠誠心と服従心に富み、訓練を好む性格から警察犬だけでなく、軍用犬や麻薬探知犬など様々な場面で活躍しています。また嗅覚にも非常にすぐれています。一般に長頭種の方が短頭種に比べて嗅上皮の面積が広い分、鼻がいいと言われます。嗅上皮の表面積は人が3-4平方センチメートルに対して、犬は格段に広く18-150平方センチメートルと言われます。嗅上皮の面積、つまり鼻の長さによって同じ犬でも異なるということですね。しかし、短頭種であっても人と比較すると断然鼻がいいということになります。

戸高アナ:猫も犬ほどではないですが、嗅覚が発達していますよね。「またたび」が好きですけれども人には分からないよさがあるのですか・・・?

藤崎:鳥類や人を含む高等な霊長類には存在しませんが、爬虫類や哺乳類では鋤鼻器やヤコブソン器官と呼ばれるフェロモン受容器があります。この鋤鼻器でまたたびなどに含まれる特定の物質やフェロモンを感知しています。フレーメン反応と呼ばれる陶酔感は匂いとはまた別のルートで伝わっています。

戸高アナ:我々にはない鋤鼻器という器官があるんですね。犬猫の能力はやっぱり凄いですよね。

藤崎:ほんとそうですよね。ニシタチが好きな院長ももし犬が言葉をはなすことができたら、危機的状況になる夫婦が多いだろう、とよく言っています。

戸高アナ:全部奥さんに告げ口されたらたまりませんよね…(笑)

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