コンテンツへスキップ

8月1日(金)のMRTラジオ「ドクター・ヒデのワンニャン譚」は「犬猫の味覚」でした。

(藤崎):今回は前回の『嗅覚』に続いて、五感のひとつである『味覚』について、犬猫と人の相違を話します。人の味覚は1塩味、2酸味、甘味、苦味、辛味の5種類が基礎感覚(味質)といわれ、犬猫も基本は同じですが、味蕾の数や味の感じ方が異なるとされています。

(戸高アナ):まず、食事をして味を感じるまでのメカニズムについて教えてもらえますか?

(藤崎):味覚は嗅覚とともに化学感覚と呼ばれ、嗅覚が嗅上皮で感知されるように味覚は味蕾の感覚上皮で感知されます。味覚は最も複雑で顔面神経、舌咽神経、迷走神経という3つの神経によって支配されています。視床へと伝えられた情報は大脳皮質に送られます。

(戸高アナ):いつも思うのですが、動物の体、感覚というのは本当に凄いですよね。そこで人と犬猫との味覚の違いで特に異なることは何でしょうか?

(藤崎):舌のざらざらした部分に味を感じる味細胞があるのですが、この味蕾の数によって感覚が変わると言われています。犬ではこの味蕾の数が人と比べて少なく、人が約9000あるのに対して、約1700であるとされています。説によってことなりますが、それぞれの味蕾には感じる味質が異なると考えられていて、それぞれの味覚に対する味蕾の分布が異なるという考え方もあります。しかし、人において最近ではどの味蕾でも感じることは出来るが感度が味蕾によってことなるのではないかという説もあり、まだはっきり分かっていません。しかし、犬では甘味に対する味蕾が多いという説もあり、実際犬は甘いものが好きです。そして凄いことに人工甘味料と天然の果糖では感じ方が違うとも言われます。猫は砂糖水とただの水を区別できないという実験から甘味に関しては、猫にとってあまり重要ではないと考えられています。

(戸高アナ):動物の味覚の研究って難しそうですね…。そして人といっても国によって随分料理の味付けって違いますよね。

(藤崎):最近和食がユネスコ文化遺産に登録されましたが、うま味物質は、東京帝国大学(現在の東京大学)教授の池田菊苗さんによって、1908年にだし昆布の中から発見されました。うま味物質として知られているものにグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸などが挙げられ、うま味物質はさまざまな食品に含まれています。グルタミン酸は昆布や野菜などに、イノシン酸は魚や肉類に、グアニル酸はきのこ類に、コハク酸は貝類に多く含まれています。うま味となるだし昆布や鰹節を使用した出汁は、日本料理において基本となる伝統的調理手順のひとつであり、うま味の存在に早くから気づいていたんですね。余談になりますが、世界で初めて煮るという調理法をしたのも日本人と言われていて、北海道や福井県の遺跡から出土した1万~1万5千年前の縄文土器に魚を煮炊きしたとみられる跡が見つかっています。
 
(戸高アナ):日本人は昔から味覚において優れていたのですね。

(藤崎):犬猫の話に戻りますが、味覚と嗜好は別のものかも知れませんが、小さい頃から食べているものを好む傾向が犬猫でもあります。
 
(戸高アナ):人も子供の頃に食べた物を年取ると好むようになると言いますよね。

(藤崎):たとえば猫にマグロのお刺身など生魚をあたえずに育てると、大人になっても全く食べないという子はよく聞きます。

(戸高アナ):味覚という面でも人と犬、猫ではそれぞれにかなり相違点があるということが分かりました・・・・・・今回も有難うございました。

先頭へ

電話受付