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10月10日(金)のMRTラジオ「ドクター・ヒデのワンニャン譚」は「犬猫の耳の話」でした。

(藤崎):今日は犬・猫の耳についてお話します。
人の耳で聞くことができる周波数は16~20000ヘルツと言われ、普段の会話は200 ~4000ヘルツの範囲と言われます。犬が聞くことができる範囲は65~50000ヘルツ、周波数が大きいほうが高い音なので人よりも高い音でも聞くことができます。猫はまだ完全に解明されてはいませんが推定で25~78000ヘルツとさらに高音でも聞くことができます。そして犬に比べて低音でも聞くことができます。ちなみにイルカなどは超音波と呼ばれる周波数20000ヘルツ以上の高い周波数の音を使って遠くにいる仲間とコミュニ ケーションをとっていることが分かっています。

(戸高アナ):犬猫など動物は人には聞こえないような音まで敏感に察知しているので すね。確かに我が家のぶひちゃんも、私たちには足音など何も聞こえないうちから家族が帰ってくるのが分かって待っていたりしますね。

(藤崎):自然界で生活していた動物たちは危険を察知するために聴覚は非常に重要で猫では感覚器のなかでも生後いち早く発達すると言われています。一方人では言葉を巧みに使ってコミュニケーションをとるため、似ている音の識別は犬猫など動物よりも優れていると言われています。また人では聴覚に関する詳しい研究もされていて、年齢によっても聞こえる周波数の範囲が変わってきます。「モスキート音」と呼ばれる17000ヘルツ前後の高周波の音ですが、正常でも年齢を重ねるごとに高周波の音が聞こえなくなっていきます。キーンという耳障りな音のため若者がたむろしやすい場所、コンビニなどでは防止策としてモスキート音を出している場所もあるようです。

(戸高アナ):「モスキート音」聞いたことがあります。個人差はあるかと思いますがどのレベルのモスキート音が聞こえるかどうかで年齢がバレてしまうんですね。

(藤崎):犬は犬種によって耳の形が違いますよね。柴犬やチワワなど耳がピンと立っている犬種もあれば、ダックスフンドやプードルのように耳が垂れている犬種もいますが、聴力には差がないそうです。ちなみにダックスフンドの耳を開くようにとめて実験しても聴力には変化がなかったそうですよ。また、音源がどの方向から聴こえてくるのかを判断する能力も人よりも犬猫が優れているとされます。人では左右それぞれ聞こえる音の音量と時間の微妙な差を認識して脳で判断しています。人は耳たぶのしわも方向を判断する為にあると言われています。犬猫は耳介を動かす筋肉が著しく発達し、猫では約180度可動させることができます。耳の向きを動かし、集中して音を聞く犬猫の姿を見たことがありませんか?

(戸高アナ):人と犬猫の耳、構造的な違いはありますか?

(藤崎):犬猫では人と異なり垂直耳道と水平耳道からなりL字型をしています。特に犬では耳道が他の動物よりも長いのが特徴です、このため日頃から耳のお手入れをしないと耳が悪くなることがあります。耳を痒がる、頭を振る、耳が臭う、耳垢が出るなど症状が見られる外耳炎がよく認められます。これらは日頃のお手入れで予防することができます。耳の中には正常でも細菌やマラセチアという酵母菌が常在していますが異常に増殖してしまうと外耳炎になります。L字型をしているので綿棒を使ってキレイにしようとしても届かずかえって奥に汚れを押しやってしまったり、耳道を傷つけてしまう危険性があるので、洗浄液を使って洗浄し、悪い時には最後に薬を入れます。

(戸高アナ):耳とお手入れは家庭でもできますか?

(藤崎):一度やり方をきちんと教わってもらうと家庭でもすることができます。子犬から来院されている患者さんには初めにやり方を説明して日頃から家庭で予防してもらうようにしています。一度悪くなってしまった外耳炎を治療するのはとても時間がかかり大変なことが多いです。ひどくなる前に予防!が重要ですね。また耳洗浄などを我慢させるはいい躾にもなります。診察に来ても暴れてなかなか体を触らせない子がいますが、日頃から飼い主さんが体あちこち触って観察できる子だと何か以上が出たときに早期発見早期治療につながります。また薬を処方しても飲ませられない、家庭でも消毒してもらいたくてもできないという困った子もいます。飼い主さんも病院に行けばなんとかなる、ではなくてご自身のワンちゃんねこちゃんの家庭でできるケアは最低限できるように日頃から訓練していただきたいものですね。

文責:獣医師 藤﨑 由香

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