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2015年3月13日(金)のMRTラジオ「ドクター・ヒデのワンニャン譚」は「猫の尿スプレー」でした。

(藤﨑):今日は猫の「尿スプレー」についてお話します。

(戸高アナ):尿スプレーって何ですか?

(藤﨑):猫ちゃんを飼われている方はもうご存知だと思いますが、尿スプレーは普通のおしっことは異なり、立ったまま尻尾を上に立てて体を震わせ足踏みしながら、1ccほどの細かい霧状の尿をふきつけます。

(戸高アナ):猫ちゃんたちがそういう行動をするということは何か意味があるのですよね?

(藤﨑):尿スプレーには、縄張りをマーキングする意味があります。実は爪とぎもただ単に外側の古くなった爪を剥がしてその下の鋭い爪を露出させているだけでなく、爪跡に匂い(フェロモン)をこすりつけていて、縄張りをアピールする意味があります。この匂いで猫同士では個体識別可能と考えられています。繁殖期のオスでは特にこの尿スプレーが目立ちます。

(戸高アナ):尿ということは…もちろん匂いますよね?

(藤﨑):そうなんです。猫の問題行動として相談されることも多いのですが、室内でされると匂いが気になります。天候条件によっては12m離れている他の猫でも気付くことができます。これは最長2週間残るともいわれています。肛門嚢腺の分泌物が混じるとさらに強烈な匂いがします。

(戸高アナ):オスでもメスで尿スプレーは見られますか?

(藤﨑):多いのは去勢手術されていないオスですが、去勢オスやメスでも見られます。

(戸高アナ):家の中でする場合はどうしたらいいのでしょうか…

(藤﨑):尿スプレーは本来正常な行動で、縄張りをマーキングする意味合いがあります。そのためライバル猫がやってくる可能性がある場所に尿スプレーします。つまり安心できる家の中では自分の存在を主張する必要がないのであまり尿スプレーはしません。

(戸高アナ):では飼っている猫が尿スプレーを始めた場合は安心できていない可能性があるということですか?

(藤﨑):何か不安に感じる、怯えているような場合や環境の変化で自分を主張している可能性があります。引越しだったり新しい猫が家に来たり、敏感な子は飼い主さんについた他の猫の匂いが原因ということもあります。多頭飼育の場合には比較的よく認められる行動です。

(戸高アナ):対処方法はありますか?

(藤崎):繁殖期の行動のひとつでもあるため、未去勢オスや未避妊メスでは去勢手術・避妊手術が有効になります。また何か不安を感じていたり環境の変化があった場合にはその原因を取り除く、新しい環境に慣らしたい場合には飼い主が付き添い不安感を与えないことが必要になります。飼い主さんが外で他の猫を触ったりしていませんか?猫も嗅覚が敏感なので手や服についた匂いが原因かもしれません。また猫はとても清潔好きな動物です。そのため寝床の近くでは尿スプレーはなかなかしません。留守番中など不安に感じやすい時間は、自由にできる空間を狭くすると寝床の近くでは尿スプレーしにくくなります。同じように食べ物の側でも尿スプレーはしません。いつも尿スプレーしてしまう場所にフードを置くことも効果があることがあります。猫に安心感を与えたり情動を落ち着かせるようなフェロモン剤もあって、尿スプレーの75~97%の猫での改善が報告されています。

(戸高アナ):原因を取り除くことができれば一番ですが、そうとは限らないですよね。猫の習性をうまく利用してやめさせるということですね。

文責:獣医師 藤﨑 由香

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