コンテンツへスキップ

2015年4月3日(金)のMRTラジオ「ドクター・ヒデのワンニャン譚」は「フィラリアの予防」でした。

(戸高アナ):ずいぶん暖かくなりましたよね。

(藤﨑):本当に暖かくなりましたね。春風が心地よくお散歩にも行きやすい季節ですよね。
 暖かくなってきたということは…4月はフィラリアの予防を始める時期ですよね。

(戸高アナ):フィラリアのお話は以前にも何度もありましたが、改めてもう一度おさらいしていきましょうか?

(藤﨑):そうですね!では、フィラリアはある虫が媒介していますが、なんでしょう?

(戸高アナ):蚊が媒介しているんでしたよね?

(藤﨑):正解です。気温が15度以上になると蚊は吸血行動を始めると言われています。宮崎県の過去の平均気温を見てみると、4月は16.1℃です。蚊が吸血行動を始める時期なので宮崎の場合には予防を始めなけれないけません。

(戸高アナ):だから、フィラリアの予防は4月から始めるのですね。

(藤﨑):では、蚊が刺す時に体に入ってきたフィラリアは筋肉内や皮下組織内で一定期間成長した後にどこへいくでしょう?

(戸高アナ):たしか…心臓に寄生するのでしたよね?

(藤﨑):正解です。肺動脈という肺と心臓を結ぶ血管や心臓に寄生します。そのため肺高血圧症から心不全に陥り、咳や腹水、元気低下、運動を嫌がるなどさまざまな症状が出ます。肝臓や腎臓などほかの臓器にダメージが出たり、突然血色素尿と呼ばれる真っ赤なおしっこをしたり、呼吸困難を起こす例もいます。

(戸高アナ):苦しい思いもするし、最悪亡くなるケースも多い病気でしたね。
予防したら大丈夫ですよね?

(藤﨑):宮崎だと4月から12月確実に予防薬を月に1回飲ませてもらうと予防することができます。しかし、うっかり予防薬を飲ませ忘れていた…途中で辞めてしまっていたという方の中には感染しているケースがあります。フィラリアの予防薬と言いますが、フィラリアが体に入ってくるのを予防することができるわけではありません。体に入ってきたフィラリアを心臓に入る前に殺そうというお薬になります。その為、最後に蚊が刺した後が特に大事です。宮崎だと11月でも平均気温が約15度あります。1カ月後まで、12月までの予防が大事です。
ところでマンションだから蚊はいないという方もいらっしゃいますが、蚊は何階まで飛ぶと思いますか?

(戸高アナ):高く飛んだとしても4、5階じゃないですか?

(藤﨑):3階以上は飛ばないと書かれている記事などもありますが、調べてみると実は蚊は意外と高く飛ぶことができるようです。1954年京都市での調査になりますが、25m付近までは多くの種類の蚊が飛ぶことができるようです。40m以上(約13階)になると極めて少なくなるが少数捕獲されていて、48m(約16階)以上ではいずれの種類も捕獲できなかったとされています。これは小学校の校庭で行われた調査で、マンションなど途中ではね休めできるような環境やエレベーター内に侵入するともっと高くまで飛ぶ可能性もあります。

(戸高アナ):蚊は思ったよりも高くまで飛ぶことができるのですね。マンションでも油断はできないということですね。予防薬を飲ませる前には検査が必要でしたよね?

(藤﨑):そうです。フィラリアに万一感染している状態でフィラリアのお薬を飲むとミクロフィラリアが死に急性症状を引き起こすことがあります。そうならない為にフィラリアの予防を始める前に必ず動物病院に行き、血液検査でかかっていないことを確認してから薬を飲ませ始めてください。

(戸高アナ):うちの子なかなかお薬あげるのが大変なのですが…

(藤﨑):お薬を確実に飲んでもらうためにさまざまなタイプが販売されています。当院ではおやつ状になっているチュアブルタイプがありますが、喜んで飲んでくれる子が多いですよ。注射で予防できる薬やスポット製剤もあるのでかかりつけの動物病院へ相談してみてください。
昨年は人にかかるデング熱も話題になりましたよね。昨年は狭い地域のみでの発生でしたが、輸送の際など病気を持った蚊が遠くへ移動してくる可能性もあります。犬も人もなるべく蚊に刺されないにこしたことはないですね。

文責:獣医師 藤﨑 由香

先頭へ

電話受付