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タイトル 2015年4月17日(金)のMRTラジオ「ドクター・ヒデのワンニャン譚」は「カーミングシグナル・前篇」です。

(藤﨑):今日はカーミングシグナルについてお話します。

(戸高アナ):カーミングシグナルとは何のことですか?

(藤﨑):人間のように言語を使ってコミュニケーションをとることができない動物たちですがコミュニケーションは成り立っています。カーミングシグナルとは不要な争いを避けるために自分の立場や感情を相手に伝える際の行動、ボディーランゲージを言います。Calmingには落ち着かせる、Signalには合図という意味があります。ノルウェーの動物学者が提唱し、少なくとも30個に分類されています。

(戸高アナ):ボディーランゲージは人でもありますよね。カーミングシグナルは犬にも猫にもありますか?

(藤﨑):どちらにもありますが、それぞれ少し異なります。人のボディーランゲージは国によって意味がことなることがあります。『おいで』と呼ぶときにする手招きですが、アメリカやイギリスでは『あっちに行って』という意味になってしまいます。犬猫のカーミングシグナルは世界共通、場合によっては犬と猫でもコミュニケーション可能とされています。今回は猫のカーミングシグナル、次回は犬のカーミングシグナルについてお話します。まず、猫の友好的な感情を示すカーミングシグナルですが、甘えたいときには尻尾を肛門が見えるくらいまでまっすぐピンと立てて近づきます。

(戸高アナ):確かに猫が撫でて欲しくて寄ってくるときには尻尾を立てているような気がしますね。喉をゴロゴロするのも甘えているときですよね?

(藤﨑):どうやってゴロゴロという音が鳴っているのかは未だに分かっていませんが、嬉しいときにゴロゴロ鳴らします。でもゴロゴロ言うのは嬉しいときだけではありません。実は緊張している時にも自分自身の不安を軽減させる目的でゴロゴロ鳴らすことがあると考えられています。猫を触っていてゴロゴロ喉を鳴らしていると「心を許してくれた!」と思ってしまいますが、実際は緊張しているのかもしれませんね…笑

(戸高アナ):怖がっている時、怒っている時もカーミングシグナルで分かりますか?

(藤﨑):怖がっている時は尻尾を巻いてできるだけ自分を小さく見せようとします。何か気になることがあると耳はピンと立ちます。不安に感じると耳がピクピクと動き、瞳孔が大きくなってきます。イライラしているときは左右に尻尾を小刻みに振ります。興奮が高まるにつれてますます早く、大きく振ります。

(戸高アナ):犬は喜んでいる時に尻尾を振りますが、猫が尻尾を振る意味は違うのですね。他にもありますか?

(藤﨑):警戒している相手を見つけた場合は目をそらし、耳が横を向きます。目をそらすことで自分には争う意思がないことを伝えます。ヒゲは顔にピタッとくっつけて顔を小さく見せ、威圧的にならないようにします。相手を威嚇するときには耳が倒れ、瞳孔が最大に大きくなり、背中を丸めて毛を逆立てて、尻尾を膨らませて体を大きく見せます。尻尾は2倍に膨れ上がると言われます。そして「シャー」っと威嚇の声で脅かします。猫同士の衝突はケンカまで至らないケースも多いと言われます。争う気はないと相手に伝えてケンカを避けケガを防ぎます。あるいは怒っているというカーミングシグナルを駆使して、相手が逃げ出すように仕向けます。

(戸高アナ):こういった合図を送ってなるべくケンカにならないように動物たちもしているのですね…

(藤﨑):私たち人間も動物たちのこういった合図を見過ごして、無理に手を出すとやられてしまうわけですよね。動物病院ではこういった合図分かっていても処置しなければならない場面も多々ありますが、普段の日常で猫ちゃんが警戒心や攻撃心を持っているときは、特に慎重に接する、場合によってはそっとしておくことが必要になります。

(戸高アナ):なるほど、動物の気持ちをカーミングシグナルから読み取るというわけですね。知っておくと役立つことが多そうですね。

(藤﨑):私たちも合図を送ることもできます。道端で猫に出会ったとします。そのままじっと正面から見つめてしまうとこれは敵意をもっているカーミングシグナルになってしまいます。争う意思がない、友好的に接したいというのを伝えるにはゆっくりと瞬きをし、ゆっくり視線をはずして横を向きます。敵意がないことが伝わると場合によって近寄ってきてくれるかもしれません。尻尾をまっすぐピンと立てて近寄ってきてくれれば撫でて欲しいサインです。ゴロンとおなかを見せるのは争う意思がない、服従しているという最大のカーミングシグナルになります。

(戸高アナ):ついつい猫と出会ったら見つめてしまいがちですが、ねこちゃんは警戒してしまうのですね。

文責:獣医師 藤﨑 由香

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