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2015年8月28日(金)のMRTラジオ「ドクター・ヒデのワンニャン譚」は「猫の仕草」でした。

(藤﨑):今日は猫のよく見る仕草についてお話します。猫といえばどんな仕草をよくしていますか?

(戸高アナ):そうですね…よく体をペロペロ睨めているのを見ますが、毛づくろいをしているのですか?

(藤﨑):猫は1日の生活時間のうち3分の1の時間をペロペロ体を舐めるのに費やすといわれるほどよく体を舐めます。抜け毛を取ったり、毛を整えるほか保湿の効果もあると考えられています。そのほかにも気持ちを落ち着かせる意味合いもあります。

(戸高アナ):そんなに長い時間をかけて自分でブラッシングしているのですね。

(藤﨑):そうですね、毛づくろいをするときのブラシ代わりに舌を使います。猫の舌をよく見たことはありますか?

(戸高アナ):よく見たことはないですね、でも舐められた時に犬とは違いザラザラしていますよね。

(藤﨑);猫の舌には突起があり、糸状乳頭と呼ばれます。小さい猫の舌に約300個もの突起があると言われます。人工哺乳で子猫を育てたことがある方はお気づきかと思いますが、産まれて間もない子猫にはこの糸状突起はありません。生後約3ヶ月頃から生え始めます。おっぱいを飲むのには邪魔になってしまうため始めはありませんが、離乳して食事をするようになると食べ物をすくうスプーンの役割を果たすため必要になります。元々肉食の動物なので骨についた肉を上手にザラザラな舌を使って剥がしとって食べることができます。

(戸高アナ):なるほど、子猫の舌にはザラザラはないのですね。

(藤﨑):猫同士で舐め合ったり飼い主を舐めたりすることもよくあります。親愛の気持ちを表していると考えられます。撫でられていると母猫に舐められているような感覚になるのでしょうか、舐め返してくれることがあります。また舐めることで自分の匂いをつけるという
意味もあります。

(戸高アナ):猫がよく体を舐めていることで問題になることもありますか?

(藤﨑):1ヶ所を必要以上に舐めている場合には病気の可能性もあります。皮膚炎を起こしていたり、陰部を気にする場合には膀胱炎を起こしていたり、お尻周りを舐める場合には肛門嚢炎だったり… その他に毛をむしるように舐める場合には常同障害の可能性もあります、普段とは違う場合には何かあるのかもしれないですね。また、毛づくろいする際に、抜けたけを飲み込んでします場合があります。毛球症と呼ばれますが、胃や腸などの消化管内に毛玉ができてしまいますが、嘔吐の原因にもなります。人がブラッシングしてあげたり、毛玉が貯まらないように排泄を助ける薬もあります。毛の長い猫ちゃんがいる家庭では注意が必要です。

(戸高):毛玉が詰まってしまうと怖いですよね。自分で毛づくろいしていてもやはりブラッシングは必要ということですね?猫と言えばよく擦り寄ってきますが、これはどんな意味があるのでしょうか?

(藤﨑):これは自分の匂いをつける意味があります。猫には臭腺とよばれる匂いを出す腺が耳の下や頬、顎、爪、肉球、尻尾、肛門と全身にあります、自分の匂いをつけて自己紹介のような意味あいがあります。また自分の匂いをつけることで自分自身が安心する効果もあるようです。

(戸高アナ):甘えて擦り寄ってきているとばかり思っていましたがそんな意味もあるのですね。

(藤﨑):物にスリスリしている場合もあるかと思いますが、これは匂いをつけて自分の縄張りを主張しています。クンクン匂いを嗅ぐというと犬のイメージが強いですが、猫もよく匂いを嗅いでいます。猫同士匂いで自己紹介の意味があるので、相手がどんな猫なのか情報を得ようとよく匂いを嗅ぎます。鼻が湿っていますよね?猫の鼻も水分が蓄えられていてニオイ分子を吸着させて匂いを嗅ぎとります。この鼻、よく見ると模様があり、鼻鏡といいますが人の指紋のようにそれぞれ模様がことなります。

(戸高アナ):ゴロンとお腹をみせる行動もよく見られますが、これは信頼しているよということでいいですか?

(藤﨑):お腹をみせるということは攻撃されないと分かっている場合の無防備な行動ですので信頼して甘えている、お腹を撫でてという表現です。戦う意志がありませんという服従の意味もあります。

(戸高アナ):何気ない動物の仕草でも意味があるのですね。

文責:獣医師 藤﨑 由香

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