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2016年1月8日(金)のMRTラジオ「ドクター・ヒデのワンニャン譚」は「猫の多頭飼育」でした。

(藤﨑):今日は猫の悩み相談で多い問題の1つである「複数飼育」についてお話します。猫の飼い主は複数飼育を希望するケースが多い傾向があります。

(戸高アナ):もう1頭飼って仲良くしてくれるといいな…と考えますよね。

(藤﨑):そうですよね、仲良くしてくれればいいのですが、相性が悪く仲良くできないというケースももちろんあります。この仲良くできないケースはある報告によると約50%にも昇ると言われるほど多くあります。例えば、5歳避妊雌をこれまで子猫の頃に拾ってからずっとⅠ頭で飼っていいて、新しく生後6ヶ月の去勢雄を保護施設から引き取ったというケースでは先住猫の5歳の子が突然やってきた子猫を警戒、威嚇してしまい隠れてしまいました。一方の生後6ヶ月の子猫は新しい環境にもかかわらず初めから部屋の中を自由に散策する様子が見られました。

(戸高アナ):無邪気な子猫が怒られたことに全く気づかないといったところですね。傍から見れば無邪気な子猫は可愛いなですみますが、先住猫にしてみると突然やってきた新入りに自分の家をウロウロされてきっとイライラしていますよね。

(藤﨑):飼い主は時間が経てば慣れるだろうと呑気に考えていましたが、2日間このような状態が続きます。子猫は食欲旺盛で特に気にする様子はありませんが先住猫は子猫が寝ている隙にこっそり出てきて水だけは飲んでいるようですが食事は一切しません。今までは飼い主がソファでTVを見ていると膝に乗り甘えていましたが部屋の物陰に隠れたまま出てきません。共同にしているトイレを利用する回数も減ったように思われます。そしてついに先住猫が出てきているときに子猫とバッタリ会ってしまいます。先住猫は子猫を追いかけ回し最終的にはケンカしてしまいます。

(戸高アナ):まあ予想できた展開ですが…。

(藤﨑):幸い今回、怪我はなかったようですが、猫同士のケンカで怪我をするケースもあります。子猫から飼えば大丈夫!と考えていたり、食器もトイレも共同にさせて仲良くさせよう!と考えていたり、猫なりに仲良くするだろう!といきなり部屋の中を自由にさせてしまったり、実はこれらは全部間違っているんです。
今回の行動は恐怖による攻撃、テリトリーを守るために攻撃してしまったわけですが、このようにケンカしてしまうといずれどちらか怪我をすることは目に見えています。では、もう隔離して飼育するしか方法はないのでしょうか…

(戸高アナ):せっかく仲良くさせたいと思って新しい猫を受け入れたわけですからできれば避けたいですよね。家の中でお互い生活するわけですし、またいつかバッタリ会ってしまうという可能性だってあるし…何か方法はないのでしょうか?

(藤﨑):そのような相談は実際に臨床現場でよくされますね。専門的には「系統的脱感作と拮抗条件付」という考えに基づき問題行動解決していく必要があるのですが、簡単に言うと少しずつ慣らして怖くないことを教えていこうというわけです。

(戸高アナ):具体的な方法を教えてください。

(藤﨑):まずは隔離が大事です。ケンカしてしまっている状態では興奮もしていますし、今回は身体的な怪我はありませんでしたが精神的なダメージは大きいはずです。落ち着くまで数日は隔離してしまいます。そこから少しずつ接触する機会を設けていくわけですが、この少しずつというのが重要です。まずは2頭を隔てるドアを少しだけ、それも短時間開けて気配を感じる程度から開始し、お互いの姿が見えるようにする、お互いの匂いのついた敷物を交換するといったように根気よく少しずつ慣らしますが決してムリさせてはいけません。

(戸高アナ):ムリしているかどうかの判断はどうしたらいいですか?

(藤﨑):これは行動を観察するしかありません。接触がある時間の活動性や食欲、耳を寝かせる、背中を丸める、足を体に近づけ小さくみせようとするといった行動などで判断せざるを得ません。万一急いで接触させてしまったり、偶然遭遇してしまうなどでケンカしてしまうとさらに関係は悪化してしまいます。この行動療法はうまくいくと数週間で解決してしまいますが、数ヶ月単位で時間をかけて行うと考えておいた方がいいでしょう。これは一緒にさせるのが目標ではなく、一緒にさせてもお互いにストレスがかからないようにするのが最終目標になります。改善率は約63%という報告もあり、時間をかけて慣らしていきますがそれでもムリという場合もあるんですね。

(戸高アナ):猫でも気の合う猫、合わない猫がいるというわけですよね。

(藤﨑):猫の社会性、性格やこれまでの生活環境、猫同士の相性の問題、特に先住猫がこれまで他の猫と接触したことがないという場合には難しい場合が多いなるようです。また健康状態や現在の環境、多頭飼育するための環境が整っているがが重要になりますね。先ほど出てきた食器やトイレの共有ですが、これは必ず別にしなければなりません。食欲や飲水量は健康状態を知る重要な方法ですし、猫は綺麗好きなため他の子が使用したトイレは使わないこともあります。

(戸高アナ):新しい子を貰い受けるときにこのようなことを考えておく必要があるわけですね。

文責:獣医師 藤﨑 由香

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