コンテンツへスキップ

細菌培養検査について

動物病院では、細菌感染症の治療や感染予防(術後や抗ガン療法時など)に抗生物質を処方する機会が多くあります。

しかし抗生剤はどの細菌にも効果があるというものではなく、細菌の種類によって変更する必要があります。

抗生剤が効かない細菌を「耐性菌」と呼び、中でも複数の抗生剤に耐性をもつ細菌を「多剤耐性菌」と言います。多剤耐性菌の代表が「メチシリン耐性菌(MRSA)」です。1970年代から耐性菌の存在が知られるようになり、今ではそれもかなりの数にのぼり、人医療で問題となっています。実際に当院でも多剤耐性菌が検出された症例もいます。

多剤耐性菌が存在するとすぐに病気になってしまうというものではありません。しかし免疫が弱っている時や乳幼児、高齢者では多剤耐性菌の感染が起こる場合があり、抗生物資が効かないために治療が困難になります。

強い抗生剤=いい抗生剤ではありません。感染している細菌に合った適切な抗生剤の投与が求められています。

広域抗生剤(多くの細菌に効果のある抗生物質)の乱用や抗生剤の多剤投与、抗生剤の長期投与が薬剤耐性菌を生む原因となります。

そこで有効になるのが「細菌培養検査」です。細菌を専用の培地で増やし、細菌の種類を特定します。種類が特定されるとその細菌に有効と思われる抗生剤が効くかどうか「感受性検査」を実施して、どの抗生剤が有効かを判断します。これらの検査結果を元に適切な抗生剤を適切な期間投与することが、病気の早期治癒に繋がるだけではなく多剤耐性菌の発生を抑え、周囲への影響も抑えます。

そこで当院では外耳炎をはじめ膀胱炎皮膚炎膿瘍など()を中心に、細菌感染が認められ抗生剤の投与が必要な症例では積極的に細菌培養検査を実施しています。

この中でも外耳炎は通常よく見る病気です。かつかなりの症例で予防が可能で、罹患しても軽度であれば抗生剤を使用しなくてもイヤークリーナーや耳洗浄(消毒薬の希釈水)で治癒が可能です。耳洗浄は「しつけ」された動物でなければなかなか上手くいきませんが、その気(治してあげようという愛情)になって努力すれば大丈夫です。

詳細は当院獣医師にお尋ねください。

先頭へ

電話受付