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「マムシに噛まれた犬」でホームページアクセス殺到!

▼6月17日の「動物病院TAC」のアクセスが通常の3倍以上の5768人となり、何事が発生したかと調べると、Yahoo!ニュースなどで「マムシに噛まれた犬」が話題になったようです。
▼先月末(5月31日)、蛍を観るため田舎に帰ったのですが、何かの拍子にマムシの譚になり、わたしが親父に「今度マムシを殺したら処理して骨を炭火で炙っといて」と頼むと、横から兄貴が「いまごろ何のため?」と怪訝そうな顔をしておりました。むろん食して精を出すためですが。子供の頃、祖父の炙ったマムシの骨を運動会の日の朝には必ず与えられ、かじっていましたから。
▼その兄貴が高校生の時にマムシに噛まれると云う事件がありました。バインダーで稲刈りを手伝い中のことで、あと一列で終了という時、裸足の趾先をマムシに噛まれました。すぐに村の病院に行き、在庫が一本の抗血清(マムシ毒又はトキソイドで免疫したウマの血清・マムシ抗毒素または抗マムシ血清)を打たれました。それでも見る見る間に膝までパンパンに腫脹が進み、皮膚は広範囲にどす黒く変色し、2週間も休学しました。もう45年位前の事件ですが、今回も「2回噛まれたら命にかかわるのかね?」・・・・・・と不安そうでした。
▼ヒトがマムシに噛まれるとマムシ毒に対して抗体がつくられ、2回目に噛まれた場合、初回よりも症状が軽いことが多いそうです。しかしマムシ毒を中和するための抗血清は馬によって製造されています。このため治療で抗マムシ血清を投与された際には患者側の体内に馬蛋白に対する抗体が産生されるため、2度目に噛まれた場合、アナフィラキシーショック(アナフィラキシー発生率は3%・血清病は10%)の発現が懸念されます。ところが1回目と2回目で長い年月が経過している場合には、その抗馬血清が消失しているか極少のためにアナフィラキシーが発現しないこともあるようです。
▼しかし、初回であろうと2回目であろうと、抗マムシ血清を投与しないで患者が死亡した場合、医師の責任が追及された裁判事例があるようです。特に2回目の場合、抗マムシ血清を使用せざるを得ないと判断された場合には、ステロイドホルモンや抗ヒスタミン剤の併用が望ましいと考えられます。実際、これらの事前処置(抗マムシ血清の投与前にステロイド剤などを使用)でアナフィラキシーショックなどは防止できるようです。(ハブの咬傷に使用するセファランチンを投与することもある)。
▼ヒトがマムシに噛まれて死亡する病態は、循環不全(腫脹・浮腫による循環血液量減少)や急性腎不全(筋融解からミオグロビン血症)、そして多臓器不全のようです。数日の経過で亡くなるようです(死亡率0.8%)。

(NHK取材時の内容を補足)。6月22日。

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